事実婚解消後の入籍、親権調停はどうなる?

事実婚で認知済みの子供が1人居ます。
事実婚解消後、新しい方と出会い入籍しようという話になりました
事実婚の時の相手には親権調停をすると言われています
入籍した後養子縁組を相手の方としたら、調停をする事はできなくなりますか?
なにか不利になることはあるのでしょうか。

お子さんが未成年の非嫡出子である場合、あなたが婚姻した後にお子さんを夫の養子にしたい場合は、夫だけでなくあなたも養母として(夫婦共同で)養子縁組する必要があります(民法795条本文)。これは、養親と子の間には嫡出子の関係が生じるところ(民法809条)、実母と子の間が非嫡出子の関係のままではバランスに欠けるためであると説明されています。

そして、再婚後の養子縁組によって夫婦の共同親権となった場合は、血縁上の父親からの父を親権者とする協議に代わる調停及び審判(民法819条5項)は認められないと考えます。
この点について明確な判例はありませんが、離婚後の親権者変更(民法819条6項)においては、離婚後に親権者が再婚して元夫婦の子と再婚相手が養子縁組した場合には、親権者変更の申立ては認められないとする最高裁判例があり、その判例で述べられている理由は民法819条5項の場面でも同様であると考えられるからです。

本人には伝えずに養子縁組をした場合慰謝料請求などされる場合もありますか?
やはり、事実婚相手と親権調停をした方が良いのでしょうか。

法的には、血縁上の父親の同意を得る義務はありませんし、事前に伝えなかったとしても、基本的に慰謝料の問題は生じないと思料します。

本人には伝えて養子縁組をしても訴えられないってことでしょうか?
調停もできなくなるのであれば、このまま養子縁組をしようと思います。
養子縁組は役所で出来るとみたのですが、役所で大丈夫しょうか?

本人に伝えてではなく、本人には伝えずでしたすみません。

養子縁組は役所への届出になります。なお、婚姻を先に済ませる(婚姻届と養子縁組届を同時に提出した場合も婚姻から先に戸籍処理してもらう)ことが前提となります。
なお、養子縁組によって第一次的な扶養義務者が変わるため、養育費は事情変更(免除又は大幅減額)が認められます。そのため、もし本件で血縁上の父親から養育費を受け取っている場合は(成立後でもよいので)養子縁組の事実を伝えて養育費を辞退する必要があるかもしれません(養子縁組後も何も伝えず養育費をもらい続けている場合、法的にはともかく事実上トラブルが生じることがあります)。

最高裁判例と仰って居ましたが、申立をできる可能性もあるということでしょうか?

申立て自体が制限されることはありません。法律上請求が認められないことが明らかな調停申立ては、調停しないことを理由とする調停終了(家事事件手続法271条)もあり得るのですが、本件は最高裁判例の事案とは完全に同じではないため(判例は離婚後の親権者変更の事案であり非嫡出子の親権者を父と定める場面ではない)、相手方がとことん争う場合は審判を経て最高裁まで争われる可能性はあると思います。

では、養子縁組をしても親権争いになる可能性があるという事ですかね。
裁判になるならあまり養子縁組をしても意味がないのでしょうか。

もし婚姻相手が希望するなら、養子縁組はすべきなのではないでしょうか。それにより血縁上の父との間で軋轢は生じますが、毅然とした対応も必要です。