違法アップロードによる開示請求と和解金・損害賠償金について
◆出来事の詳細
私は普段から楽曲制作をしており、楽曲が完成でき次第私のYouTubeチャンネルに投稿してます。
先月、私のYouTubeチャンネルに投稿された楽曲が、第三者によって勝手に各種ストリーミング配信サービスに違法アップロード配信&販売されておりました。
現在、本楽曲の著作権を管理していただいている音楽著作権管理団体様のご協力により、違法アップロード配信された楽曲は全て各種ストリーミング配信サービスより削除されております。
しかし、違法配信から削除までの約1ヶ月間、第三者が私の楽曲を悪用して金銭を得ている状態が続きました。
私も悪質な行為と即座に捉え、各種ストリーミング配信先で違法アップロードを行っているアカウントなどを動画で撮影し、証拠として保存しました。
第三者のユーザー名もメモしておりますが、ユーザー名が英語であったことや、楽曲名を日本語ではなく英語で表記していることから、その第三者は海外に住んでいる可能性が高いです。
◆質問したいことは?
第三者に開示請求をしたり、損害賠償金を請求することは可能でしょうか。
また、上記の請求は相手が海外在住者の場合でも可能なのでしょうか。
また、開示請求後に和解金の提示を検討しておりますが、いくら提示するのが妥当なのでしょうか。
(参考までに、違法アップロードされた楽曲は、削除される一週間前の時点でspotifyでは約300,000回再生、YouTube Musicでは約200,000回再生されておりました。
配信ストアでの楽曲販売数も500は軽く超えていると思われます。)
Youtubeについては、日本に会社登記のGoogleのサービスですので、発信者情報開示命令手続によりアカウント情報やIPアドレス等の開示請求手続を行うことは可能です。
開示されたアカウントの所有者の住所や氏名が判明した場合には、それで投稿者の特定はできます。他方、アカウント情報から判明しない場合には、経由プロバイダを特定し、そこにさらに開示請求を行う必要があります。しかし、これが外国のプロバイダである場合、日本の発信者情報開示命令手続を利用することは難しいと思われます。
投稿者が特定できた場合、その人物に対して損害賠償請求することになります。応じない場合には訴訟提起が必要です。日本に在住する人物(外国人を含む)で、日本に住所がある場合には比較的簡単に訴訟提起可能です。しかし、外国人の場合、福岡で訴訟提起可能であっても、外国に訴状を送達しないといけないので、それなりに時間と費用が掛かります。これは、相手方が居住する国や地域によって変わります(送達条約加盟国に在住しているか、領事送達が可能か、等)。ケースによっては1年以上かかる場合もあります。
また、仮に訴状が送達できて、裁判で勝訴判決を得たとしても、相手方が任意に賠償金を支払わない場合には、強制執行(預金の差し押さえ等)を行う必要があります。しかし、外国で強制執行を行うには、その外国で外国判決の承認手続きを経なければならず、現実的にはとても困難です。また、そもそも相手方に財産が亡い場合には、日本国内であっても強制執行はできません。
なお、著作権侵害における損害賠償額については、著作権法114条に損害の推定規定があり、いくつかの計算方法があります。一例ですが、当該投稿者のアップロードしたファイルのダウンロード数×当該音楽ファイルを有料配信により販売した場合(実際に有料配信されていることが前提です。)の貴殿の配信料収入額で計算可能です。例えば、1ファイル30円の配信料収入が得られた場合に、当該ファイルが20万回ダウンロードされていたとすれば、下記の計算式により600万円が損害額となります。
(計算式)損害額=30円×20万回=600万円
裁判では、これに加えて弁護士費用10%、及び遅延損害金(年3%)を加えて請求できます。