単身赴任中の夫婦関係の証明方法について

単身赴任中に離婚調停を起こされました。確かに夫の家庭を顧みない態度に怒ることはありました。夫は単身赴任ではなく、不仲による別居だったと主張しています。(ある時期までは)夫婦としての実態があったことを反論しても、「嫌嫌付き合っていた」みたいなことを言ってきます。
裁判になったら夫婦の実態があったことをどう証明したらいいですか?

離婚”調停”に関しては、ご自身に離婚意思がないのであれば、
別居ではないと言うだけでよいでしょう。

調停が不成立に終わり、離婚訴訟を提起された場合は、別居期間が争点となるでしょうから、その場合は、①単身赴任に至った経緯やその時のやりとり、②単身赴任開始後のメールや電話でのやりとり等を精査していく形になります。

そもそも、離婚訴訟を提起するためには、その前に離婚調停の申立てがなされたものの、調停が不成立になることが必要です(調停前置主義といいます)。
 また、離婚訴訟で離婚が認められるためには、法律で定められた離婚事由に該当する必要があります(しかも、離婚事由の存在は離婚を希望する側が積極的に立証する必要があります)。
 長期間の別居は法定の離婚事由である「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当し得る事情と言われています。
 あなたのケースでは、単身赴任が別居にあたるのか(単身赴任中の期間が別居期間として考慮されるのか)が争点になりそうです。
 ただし、単身赴任で生活場所が別々になるのは仕事上の理由に基づくことに鑑みると、単身赴任中で生活が別々であったという形式的な事情のみで直ちに別居期間として考慮されるかには疑義があるところです。
 これらのことからすると、あなたとしては、単身赴任は離婚事由として評価される別居にはあたらないという立場で調停に臨むことが考えられます。
 なお、離婚訴訟まで発展した場合には、あなたの婚姻期間(同居期間)、家族構成、単身赴任の経緯等、単身赴任期間中の交流状況(メールやSNS等のやりとり含む)等を丁寧に説明して行くことが考えられます。
 いずれにしも、ご自身での対応が難しいようであれば、最善の対応につき、一度、お住まいの地域等の弁護士に直接相談なさってみてもよろしいかと思います。

【参考】民法
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。