離婚成立から自宅退去日までの家賃について

裁判で離婚が決まり、財産分与もしました。別居時から現在まで元配偶者名義の戸建てに住んでおり、自宅のローンも元配偶者が払っています。離婚が成立し、財産分与も済んだので退去する予定であり、退去日も決まって伝えてありますが、離婚成立日から退去日までの家賃を支払えと言われ、高額な請求をされました。
実は他サイトで専門家の方にお伺いしたのですが、近隣の家賃相場を参考にして決める。という方と、そもそも賃貸契約を結んでいないのだから支払う必要はない。暗黙の了解だ。という方がいらっしゃって、どうしたらいいかわかりません。
支払わなくて良いのならその方が良いのですが、また訴訟を起こされたりするのも面倒です。
離婚から退去するまでの家賃支払いについては、双方で合意すれば…というのは理解しておりますが、法律的に明確な決まりはないのでしょうか?私は支払いをしないといけませんか?拒否してよいですか?
ご教示いただけると嬉しいです。

静岡の弁護士です。
相手の主張は信義則に違反するか、権利の濫用にあたると思います。
裁判が終わるまでずっと住んでいたわけで、離婚に伴い転居までの時間も必要でしょう。
そのことは相手も認識してるはずです。
そうであれば、離婚成立後も、転居までの間、自宅をあなたに無償で貸すという黙示の合意があったと解するのが素直です。
私であれば、支払いに応じる義務はないと回答します。

早急にご回答いただき、ありがとうございます!!
離婚成立から1か月半もせずに退去するのですが、妥当な期間だとは思っていましたが、そこに黙示の合意があるというのは、とても有力なアドバイスで助かりました。

婚姻住居明け渡しの問題に関しては、いくつか裁判例がありますが、
統一した判断がなされるまでには至っていません。

裁判例で考慮されている事情、争点は、
①使用貸借契約が成立しているか、
②権利濫用といえるかになります。

①使用貸借契約の成立を認めた裁判例では、具体的なやりとりに着目し、離婚後も一定期間住むことを認める発言などから使用貸借の成立を肯定しています。逆に、そういった事情がない事案で、使用貸借の成立を否定し、損害金支払いを認めています。

ご自身のケースでもこのようなやりとりがなかったかを今一度精査すべきでしょう。
賠償を認めている裁判例がある以上、離婚の際に黙示の使用貸借契約が成立すると安易に判断はできないでしょう。

②権利濫用の場合は、

 A:財産分与が未了か
 財産分与が未了という事情から賠償請求を否定した事例があります。
 逆に言うと、ご自身のケースのように財産分与が済んでいるというのは幾分かマイナスの要素となることが考えられます。
 B::具体的な比較考量
 養育費の支払いに関する状況や、双方の収入状況などを精査して、権利濫用と判断した裁判例と、権利濫用主張を排斥した裁判例とが存在します。
 こういった事情について、精査すべきでしょう。

・「離婚成立から1か月半もせずに退去」
 離婚後からの損害金を認めている以上、1カ月半で退去すれば大丈夫ということにはならないかと思います。あくまでも、使用貸借契約が成立していて、1カ月半で退去していれば支払い義務はないという形になるでしょう。

匿名A弁護士
具体例を挙げてのご回答とアドバイスをありがとうございました。