離婚した元妻から申し立てのあった家事調停について

離婚した元妻から申し立てのあった家事調停に関するご相談です。
まず基本情報として、元妻とは平成22年頃に離婚し、離婚にあたっては、財産分与や養育費等の条件を約する公正証書を取り交わしており、さらに公正証書上では、各種条件以外に、公正証書を取り交わした以降は、公正証書の内容を以ってすべて解決したものとし、今後、財産分与等名目の如何を問わず互いに何らの財産上の請求をしないこと及び相手方の迷惑となるような行為を一切しないことを相互に確約する旨も同時に定めております。
他方、元妻との間には息子が2人いることから、離婚した状況ではあったものの、なるべく父親が傍にいる環境を維持すべく、離婚後しばらくの間(平成24年頃から平成29年頃まで)は別居していたものの、週末は元妻および息子2人が同居する家にて過ごす生活を継続しておりました。さらにその後、平成29年からは、息子2人の養育を最優先とするため、元妻および息子2人と同居を開始しておりましたが、上の息子が高校生、そして下の息子が小学校高学年と、手がかからない年齢となったこと、また、同居生活の中で元妻より不当な扱いを受けることが重なったことから、心情的に耐えかね、令和4年に再度別居することとなりました。
その後、今月2月に、離婚した妻より、家事調停を申し立てた旨の通知が家庭裁判所より届きました。具体的には、同居を開始したときから別居したときまでの間は内縁関係にあったことから、その内縁関係を解消し、それに伴い、財産分与を行うべきといった申し立て内容となっております。
「内縁関係」とは、法律上の明確な定義はないものの、お互いに婚姻の意思を持って、夫婦としての共同生活を送っている関係のことを指すものと認識しております。婚姻する意思がある点で、単なる同棲中の男女とは異なり、婚姻届の提出をしていない点で、法律上の夫婦とは異なるものと理解しています。今回の家事調停における申し立ての内容が、同居を始めたときから別居したときまでの期間に係る内縁関係を解消することとされていますが、当方の主張としては、元より、離婚した以降本日に至るまで、離婚した妻とは同居の有無にかかわらず、再度婚姻する意思を持っておりません。ただし、「内縁関係」の成立に関しては、本人の思いとは別に、外形的な事実もふまえ判断されると聞き及んだため、下記状況があった場合に、当方が、当該期間において「内縁関係」は成立していないと主張でき得るものかどうか、アドバイスを頂戴できますと幸いです。
- 家族・親族から夫婦として扱われていたか:家族・親族には離婚した旨は説明している
- 社会的に夫婦として見られていたかどうか:世間体を維持するため同居するマンションや息子2人の学校等でのコミュニティにおいては夫婦として説明していた
- 住民票はどのように届出されていたか:同一世帯として届出、ただし元妻は同居人として届出していた

内縁関係の成立には、社会通念上夫婦になる意思と、事実上の夫婦共同生活が必要とされると言われています。したがって、再婚の意思がなく同居しているだけでは、理屈のうえでは内縁関係と認定される可能性は低いと考えられます。

ただし、ケースによってはそのあたりを詰めることなく財産分与などが認められてもいるようです。

私見ですが、同居中の生活費の分担や財産管理、財産形成の寄与など、夫婦同然に行われているのであれば、分けるべき資産があるだろう、という見方もされるように思います。

辻村先生、ご回答ありがとうございました。