損害賠償額の算定方法に納得がいかない
以前交際していた女性から、処分した物品(スポーツ用品)の損害賠償を求める旨の通知書が送付されてきました。
内容としては、
・私の自宅に女性が置いていたスポーツ用品を、私が勝手に処分したため、損害賠償を請求する。
・購入からある程度日数が経過していること、使用歴があることを考慮し、メルカリを参考に中古価格を算定した。
・通知書が送達された14日以内に支払いがない場合、簡易裁判所にて少額訴訟を行い、判決に基づき強制執行を検討する。
というものです。
物品を処分した経緯としては、別れてから6日間既読無視のまま連絡がつかず、女性の住所も記憶していないため、邪魔だということもあり処分に至りました。
私自身、損害賠償額の算定方法に疑問があり、メルカリ等のフリマアプリは出品者の自由に出品価格を設定可能であり、客観的・合理的ではないと考えています。
また、女性から送付されたのは上記内容の書類のみであり、購入履歴を証明するものは添付されていませんでした。
長くなりましたが、質問としましては、
・書面に応じる必要があるのか、また応じる場合はどのように対応すれば良いのか?
・弁償しなければならない場合の合理的な価格の算出方法
です。
よろしくお願いいたします。
現在、通知に対しての回答書を作成し、処分した点については謝罪を述べる所存です。
また、フリマアプリの他にオークションや中古品販売店の価格を参考にし、統計データによる時価額算定を提案しようと考えております。この提案は調停や裁判の際、妥当性が認められるでしょうか?
残念ながら、邪魔だからといって、勝手に私物を処分することは、自力救済行為となり、法律上正当化されません。
本当にどかして欲しかったのであれば、私物を撤去するよう裁判手続きを経る必要があったということになります。
そのため、勝手に私物を処分した行為は、所有権の侵害行為となり、女性側に損害を賠償する責任があるとうことになります。
賠償すべき金額は、処分した私物の「時価」ということになり、中古市場価格が目安になるでしょう。
メルカリでの金額帯も「時価」を算定する要素の一つとなりえるでしょう(証拠価値が高いかはともかくとして)。
>・書面に応じる必要があるのか、また応じる場合はどのように対応すれば良いのか?
貴方が裁判所での解決を望んでいない場合には、とりあえず何らかの応答をする必要があると思われます。どのように対応するかという点については、通知書に対する貴方の考えを書面にして送付した上で、適宜の交渉を行うという方法が一般的だと思います。
>・弁償しなければならない場合の合理的な価格の算出方法
例えば、年式の古い車が損傷した場合の損害評価について中古車市場を参照することがあります。ですので、メルカリを参考にすることが直ちに【客観的・合理的ではない】とまでは言えないように思いますが、その他のオークションサイトなどの落札価格の平均額なども参考にはなるのかもしれません。
一方、減価償却という観点で検討するのであれば、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」などが参考になるでしょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
西谷先生、高橋先生、ご回答ありがとうございます。非常に参考になりました。
>また、フリマアプリの他にオークションや中古品販売店の価格を参考にし、統計データによる
>時価額算定を提案しようと考えております。この提案は調停や裁判の際、妥当性が認められるでしょうか?
提案内容の妥当性が認められるか否かという点については、調停委員や裁判所の個別の判断もあるので確答は難しいですが、主張立証活動としては妥当であると思います。