賃貸退去による高額請求
賃貸物件を退去するにあたり、壁付けできるマグネット包丁スタンドをキッチンの壁に貼り付けていました。それが超強力テープだったようで、退去のため剥がす時に、壁紙まで剥がれてしまいました。
管理会社の立ち会いの元状態を見て見積もりを出されたところ、20万超の請求をされました。
管理会社曰く、キッチンの壁がその部分だけでなく、横の部分も繋がってるから、全て剥がしてやり直さなければいけないから、とのこと。
もちろんこの高額請求に納得がいかずです。管理会社には火災保険で1万になるかもしれないので聞いてみてください。と言われ問い合わせしましたが、自身で起こしてしまった事故のため火災保険もおりませんでした。
この場合、私は泣く泣くこの請求金額を払わなければならないのでしょうか?
弁護士様方の意見をお聞かせ願いたいと思います。
壁紙の張り替えで20万円というのは高額な部類かと思われます。
もっとも耐用年数、壁紙の種類等によってもかわってはくるため、他の業者で見積もりを取り、管理会社の見積もりが妥当なものかどうか判断すると良いでしょう。
本件は、原状回復費用の問題として整理され、20万円のうち一定部分あるいはかなりの部分について減額交渉の余地があると考えます。
原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することをいいます。経年変化や通常損耗については、賃借人は原状回復費用を負担する必要がありません。
本件では、ご相談者様の過失や善管注意義務違反によって建物価値が減少したと考えられますが、そうだとしても、経年変化や通常損耗は必ず前提となってきます。そこで、賃借人の負担については、建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させることが適当となります。例えばカーペットの場合は6年で残存価値が1円となります。
したがって、ご相談者様の居住期間にもよりますが、原状回復費用のうち一定部分あるいはかなりの部分がご相談者様が負担する必要がないものと考えます。