慰謝料請求の妥当性と賠償責任の有無についての相談
仕事現場でのトラブルです。
工事現場入り口から公道の車線部分に区切りをする
為のパーテーションの足を差し込む止め石を置き
パーテーションを取りに行った時に、ジョギングをしていた方が置いてある止め石に躓き転倒してしまった方がいました。
謝罪し、治療費(通院2日間)もこちらで負担させていただき対応しました。
1年後、突然代理人弁護士から慰謝料の請求で10万円のお手紙が届きました。精神的苦痛によるものと記載がありました。
調べたところ、慰謝料の基準が自賠責保険の日額4300円に通院日数×2倍か、もしくは…の短い方との記載を見つけたのですが、
この10万円に妥当性はあるのでしょうか。
また、そもそも賠償責任という観点から責任があるものなのでしょうか。
事業者として、謝罪と治療費負担もしており、当事者の不注意によるものでもあるのではないかと疑問に思っています。
よろしくお願いします。
そもそも、お相手の請求の法的構成•根拠が定かではありません。民法717条を根拠にする場合、「土地の工作物」にあたるのか疑義があります。民法709条なら、あなたの過失と言えるのか(どのような注意義務違反があったのか等)の説明を要します。
また、お相手にも転倒•受傷について過失がある場合には、民法722条2項により、過お相手の過失割合分、あなたの負担る損害額が少なくなる可能性があります。
さらに、お相手の請求する10万円の損害の内訳•根拠が不明です。損害の裏付けとなる証拠を提供するよう求めてみることが考えられます。
このように、お相手の請求には疑義がある点も多いため、お相手の弁護士の方に書面で説明するよう求めてみてはいかがでしょうか。その上で、相手からの説明内容を精査し、請求の当否を検討してみることが考えられます(裁判では、これらの点を証拠に基づき説明する必要があるため、お相手側が説明したがらない場合には、相手側としても説明に窮するところがあるのではないかと推察されます)。
なお、事業者とのことですが、あなたが加入している保険から今回の事故の賠償をしてもらえないかも確認しておきましょう。
もし、裁判等を起こされ、自分での対応が困難な場合には、お住まいの地域等の弁護士に相談してみる方法もあるかと思います(あなたが加入している保険に弁護士費用特約が付いているかも確認しておきましょう)。
【参考】民法
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。
3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。
(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。