不貞慰謝料 減額交渉の適切な回数、交渉法が知りたい

少し前に訴訟でLINEを証拠とする場合の質問をしたものです。
不貞行為の慰謝料として220万円を代理人を通じ請求されています。
・概要
初対面から2年半と付き合い初めの3ヶ月は独身と騙され、既婚判明時も妻発のセックスレス10年、家庭内別居10年、元から親が死んだら離婚する決意。付き合いながら待ってほしいなどを信じてその後3ヶ月交際を継続しましが結局、別れました。
その直後、不貞相手が妻に泣きついて、慰謝料請求された次第です。

わたしも代理人に就いていただき、1回目の交渉で求償権放棄で40万円で提示したところ、きのう、先方から求償権放棄のうえ100万円、と回答がありました。
こちらの代理人は、2回目の回答を50万で返して、相手が50万で嫌なら、訴訟してもらえばいいね。と言っています。

気になるのは、2回のやり取りで、ダメなら次は裁判ね、ということです。2回のやり取りで【折り合いがつかない】と判断できるでしょうか?法律実務において普通でしょうか?

このような交渉でのよくある回数や実際の交渉方法など、教えていただけたら幸いです。

ご質問に対する回答は「事件による」としか回答できないと思います。とくに適切な回数や交渉方法があるというわけではありません。
ただ、ご質問者様が裁判外の和解を望むのかとか、訴訟でも構わないとかご意向は代理人弁護士にしっかりお伝えください。

>気になるのは、2回のやり取りで、ダメなら次は裁判ね、ということです。
>2回のやり取りで【折り合いがつかない】と判断できるでしょうか?法律実務において普通でしょうか?

ケースバイケースとしか申し上げようがないところかと思います。
弁護士介入前のやり取りの有無や程度を含め、交渉相手が頑強であったりなどして、依頼人の要望との折り合いがつかなそうな見通しの場合には2回のやり取りでも訴訟への移行を決断するケースもあり得ます。ただ、私見としては、2回というのはやや少ないようにも感じられるところです。

【質 問】気になるのは、2回のやり取りで、ダメなら次は裁判ね、ということです。2回のやり取りで「折り合いがつかない」と判断できるでしょうか?法律実務において普通でしょうか?

【回 答】まず、不貞行為の慰謝料の相場は、150万円程度です。増額事由があれば、増額され、減額事由があれば減額がなされます。
① 初対面から2年半(交際期間は3ヶ月?)
② 付き合い初めの3ヶ月は独身と騙された。
③ 既婚判明時も妻発のセックスレス10年、家庭内別居10年、元から親が死んだら離婚する決意と述べていた。
ということであれば、「慰謝料の減額事由」はあるとは思いますが、微々たる影響力です。

ですから、訴訟を提起した場合には、150万円を支払えということを言われる可能性が高い事案であることを前提に交渉段階における交渉の利害関係を考えると、
単純計算で、150万円の賠償をしても、半分を不貞相手の求めれば、実質的負担は75万円ですね。ですから、先方としては、「求償権を放棄しても75万円くらいは取得したい」わけです。しかも、それは訴訟になった場合です。訴訟になれば、弁護士費用もかかるし、時間も労力もかかります(相手方もかかるわけです。)。それを考えると、「求償権放棄のうえで50万円」という提案は、合理的です。75万円との差額である25万円は最低でも弁護士費用でかかるわけですから、弁護士費用以上のプラスがなければ訴訟を提起するメリットは相手方にはないということになります。それを考えると、「求償権放棄のうえで50万円」(実質100万円の賠償提案)を提示して、ダメなら訴訟という対応については、合理的な対応であると思います。もっとも、相手方は、金銭の多寡という「経済的な利害得失」だけではなく、ケジメを取らせたいという趣旨(「感情的カタルシス(スッキリ)」)で訴訟を提起するということもあります。

そんな訴訟に付き合うことすら嫌だと言うことを考えているのであれば、「求償権放棄のうえで75万円」(実質150万円の賠償=慰謝料の訴訟時の相場範囲内)くらいまでは、譲歩するということも「あり得る」話だとは思います(交渉としては相手方の要求丸呑みに近いです)。

その意味で、上記の「求償権放棄のうえで50万円の提示、ダメなら訴訟」というのは、「交渉内容の問題」であって、「交渉回数の問題」ではありません。

ケースバイケースですが、相手が離婚をしていない状況であり、今後も婚姻関係を継続するようなケースでは、総額で慰謝料が100万円程度で落ち着くことも多いため、その半額の50万円で納得をしないのであれば裁判外の交渉でそれ以上を払う必要がないという判断もあるかと思われます。

もちろん、裁判を避けたいという希望があれば繰り返し交渉をしまとめるよう動くこともあるでしょう。

濱門先生 高橋先生 鈴木先生 泉先生

お礼が遅れて申し訳ございません。
分かりやすく説明くださりありがとうございます。
4人もの弁護士の見解を知ることができ、大変有意義でしたし、安心できました。
代理人弁護士さんの丁々発止なスピード感に、私の思考判断がついていかず、また異論を呈するような気がして質問しづらくこちらに投稿しました。
騙されたあげく、相場より高い示談金では後悔すると思うので、訴訟やむ無し、で継続すると思います。

ありがとうございます。