債務名義が2つあります。

債務名義(判決と支払督促)を2つ持っています。
内容は同じ事件で、支払い督促を先に行って、支払いがないため数年後に判決となりました。
給与差押と、口座差押を同時期に行うために、それぞれの債務名義を使おうとしています。
何か問題はあるでしょうか。

同じ事件ですが、金額は違います。
判決のほうが期間が長いので、金額が多いです。

よく状況がわからないのですが、
「支払督促」は債務名義にならないです。
債務名義になるのは「仮執行宣言付支払督促」です。下記裁判所のページもご確認ください。
https://www.courts.go.jp/okayama/vc-files/okayama/file/27071022.pdf

すでに「支払督促」は効力を失っているのではないでしょうか。
そうだからこそ、別に訴訟提起して「判決」が出ているのではないでしょうか。

すみません。仮執行宣言付支払督促です。

仮執行宣言付支払督促だとすると、
本来その債務名義に基づいて強制執行も可能だったはずなので、
本案訴訟を提起しない限り、時効期間が満了してしまうなどの事情がない限り、
後訴(本訴)の内、同一の「請求権」部分は、二重起訴禁止原則(民事訴訟法142条)に従って、不適法だったように思います。

もっとも、支払督促には既判力(後の判決に対する拘束力)がないため、一旦、後訴(本訴)が確定してしまうと、前訴(仮執行宣言付支払督促)と後訴(通常の判決)
が矛盾抵触するとは言えず、後訴が無効とまではならないように思います。

このような場合、民事訴訟法の二重起訴禁止を徒過して判決をが下され確定してしまった事案の解説を読む限りは、
「後の確定判決が前の確定判決(※本件では判決ではないですが)に優先する効力を有する」(別冊法学セミナー新基本法コンメンタール 民事訴訟法1 410頁)とされていることに照らすと、後訴の、判決のみが、現在有効に効力を有していると考えられます。

私の私見としては、現在、仮執行宣言付支払督促ではなく、判決のみに基づき、強制執行ができると思います(文献がこれ以上見つからないため、
仮執行宣言付支払督促が使えないか否かについて確証まではありません)。

なお、給与差押えと口座差押え、いずえも債権執行になりますので、後訴の「判決」1通でも両方に差押えできます(金額を2つの差押え先に割り振って、申立します)。