弁護士の守秘義務には交渉相手の事情も含まれるか。一般的な見解を教えてください。
弁護士の守秘義務は、依頼人の事情等を前提としていますが、これに加えて例えば交渉の過程で知った交渉相手の事情も対象に含まれるのでしょうか。含まれるという説と含まれないという説があるとのことですが、実務においては何れが一般的なのでしょうか。ご教示頂ければ幸いです。
医療過誤の示談交渉において医療機関側が患者側に弁護士を立てることを求める理由と関わるかと考えお尋ねします。
明確な議論がされているわけではない印象ですが、「依頼者の相手方の秘密」も守秘義務の対象になるという考え方が一般的であるように思います。(なお、弁護士の素朴な感覚としても、依頼者でなく相手方の秘密だから口外しても守秘義務違反にならないと考える者はほぼいないのではないかと思います。)
確かに弁護士職務基本規程では依頼者の秘密に限定され、他方で弁護士法では職務上知りえた秘密と規定されていますが、守秘義務について相手方及び関係者の秘密をも保持する義務を負うと考える弁護士が圧倒的多数のように思います。(仮に相手方の秘密が対象に含まれないと解したとしても、不必要な漏洩は当然ながら懲戒や損害賠償の対象となる可能性があるため)
どのような場面を想定していらっしゃるのでしょうか。
一般論として守秘義務に含まれるかどうかという点は既に回答があるとおりかとは思います。
具体的な事件を離れて、第三者に伝えるとかマスコミにリークするとか、そのようなことに問題があるのは当然でしょう。
ただ、たとえば医療に関する事件の交渉をしていたとして、その最中に交渉相手の情報(たとえば相手に不利になりそうな既往歴の情報など)を、交渉相手からただ聞き及んだときに、それを依頼者や裁判所に伝えずに秘密にするかどうか・・。