アパート退去による原状回復費とクリーニング代に支払いにつきまして
アパートの1室を2年毎の定期建物賃貸借で契約をしており、12年間問題なく2年ごとに契約を更新してきました。現在の契約が切れる8か月ほど前にアパート全入居者に管理会社から通達が来て、オーナーチェンジにより建物の全部屋を賃貸から販売に切り替えるというものでした。全室リフォームをして販売するということで、購入を希望しない現入居者に対しては再契約は行われず、既存の契約期限が終了し次第退去しないとけいないという事でした。すでに退去された部屋もいくつかあり、工事業者が順にリフォーム作業を手掛けています。新築時からの住み慣れた部屋だったので、通達が来たときは驚きとショックでいっぱいだったのですが、契約書に契約期限が2年と明記されているので諦めて新しい引っ越し先を見つけました。来週に引っ越しをする予定ですが、現在の管理会社から原状回復費とクリーニング代は支払わないといけないと言われました。これに対して、現在の賃貸形態から販売に切り替えてリフォームをする上での退去となるので原状回復費とクリーニング代は支払わないでいいのではと管理会社に聞いてみたところ、新しいオーナーさんに確認はしてみますとの返答でしたが今のところまだ回答が得られておりません。現入居者宛に届いた部屋の販売価格表に各部屋のサービス工事金額が記載されており、私の部屋のサービス工事金額は180万となっております。部屋は2LDK(54.92㎡)です。サービス工事金額はリフォーム代と思われます。リフォーム作業中は明らかに今より汚れますし、サービス工事金額からみて部屋の大部分が交換対象になるのではないかと思われます。この状況において原状回復費とクリーニング代は払わないといけないのでしょうか?弁護士の先生方のご意見をいただけると幸いです。よろしくお願い致します。
1 原状回復費用について
原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧することをいいます。経年変化や通常損耗については、賃借人は原状回復費用を負担する必要がありません。
また、仮に、ご相談者様の故意・過失や善管注意義務違反によって建物価値が減少したとしても、経年変化や通常損耗は必ず前提となってきます。そこで、賃借人の負担については、建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させることが適当となります。例えばカーペットの場合は6年で残存価値が1円となります。
本件では、12年もの長期にわたって居住してきたのですから、原状回復費用のうち相当の部分がご相談者様が負担する必要がないものと思われます。
2 クリーニング費用について
クリーニング特約については、①賃借人が負担すべき内容・範囲が示されているかどうか、②本来賃借人負担とならない通常損耗分についても負担させるという趣旨及び負担することになる通常損耗の具体的範囲が明記されているかあるいは口頭で説明されているか、③費用として妥当か等の点から有効・無効が判断されます。
本件では、クリーニング特約の内容が不明ですが、①~③の観点をご参考に、交渉をすることができるのではないかと考えます。
土屋先生、お忙しい中ご回答頂きありがとうございます。昨日、退去後の部屋を管理会社の方と立ち合い確認をしました。土屋先生がおっしゃった様に、管理会社の方は原状回復費用につきましてはほとんどが経年劣化によるものなので請求がないものと思われると言っておられました。オーナーさんとの最終確認後にまた連絡が来るそうです。クリーニング費用につきましては、賃貸契約書には退去にあたり汚損のない場合でも借主はハウスクリーニング費を負担するとの記載がありました。リフォームが入るので、クリーニング費用は不要ではないかと管理会社の方に確認しましたが、口頭でも契約書記載の旨を伝えられましたのでその部分は支払う方向になると思います。
土屋先生のご説明、ご見解を頂きとても助かりました。
重ねまして、お忙しい中お時間を割いて頂き本当にありがとうございます。