外資系企業における解雇問題に関する相談
外資系企業勤務です。
部門の再編のため不要人員とされ、繰り返しPIPを受け、退職勧奨を固辞したため解雇されました。
当方に非があったというよりは、会社側に事情が生じ、それによりPIPが実施された認識です。
最後のPIPでは退職勧奨を経ずに解雇予告通知書が提示され、それには一か月後の退職日が記載されていました。
退職日までに消化ができない有給休暇や特別休暇は権利消滅。買い取りなし。
退職勧奨時に提示されたパッケージ+α+慰謝料を請求したいのですが、交渉の余地はあるものでしょうか。
外資系企業では、PIPが多用されることがありますが、裁判実務では、日本法の解雇要件をみたしていない場合には、PIPをクリアーできなかったことを理由とする解雇は無効とされています。
PIPを経て行われた解雇の有効性が争われた裁判例では、能力不足を理由とする解雇には労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」が必要とした上で、① 労働者の能力の低下が当該労働契約の継続を期待することができないほどに重大なものか、② 会社が労働者に対して改善を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかったか否か、③ 今後の指導による改善可能性の見込みの有無等の観点からの検討を要する旨指摘し、会社による解雇を無効としたものもあります(ブルームバーク事件、東京地裁平成24年10月5日判決、東京高裁平成25年4月24日判決)。
あなたのケースでも、PIPをクリアーしていない•能力不足を理由とする解雇なのであれば、上記裁判例の指摘する観点を踏まえた精査をしてみた場合、解雇を無効とできる可能性があるかもしれません。
また、あなたのケースでは、部門の再編のため不要人員とされたとのことですが、PIP は解雇するための見せかけで、会社による解雇の実質は人員削減のための整理解雇という可能性もあります。その場合、整理解雇の要件をみたしているのか、疑義があり、やはり、解雇は無効となる可能性があります。
いずれにしても、一度、お住まいの地域の労働問題に取り組んでいる弁護士に直接相談してみるのが望ましいように思います。