企業の機密情報を競合他社に面接で取得された場合の法的措置
弊社スタートアップとして新規サービスを運営しております。
競合他社の方が偽名を使って、弊社の採用面談を受けて弊社の情報を抜きに来た事実が発覚しました。
あくまでも口頭ベースですが、技術的なスキームや今後事業戦略などを共有してます。
面談は録画しており、顔と音声もしっかり残っているのですがこれは法的に損害請求か何かしら出来ることはあるのでしょうか?
法的措置を取りたいと思っていますが、実害レベルでは無いので対応に困っております。弁護士と対応方法を探しておりますので、アドバイスよろしくお願いいたします。
機密情報といえるかどうかが問題です。
アイデアそのものは法的な保護の対象となりませんし、採用面接の会話で話せる内容だとすると、企業秘密といえない可能性が高いといえます。
もっとも、具体的態様次第では、そのような原則論に当てはまらないこともあるかもしれません。
いずれにせよ、ネットでの相談には不十分だろうと思います。
不正競争防止法(2条6項)の「営業秘密」に該当するかが問題となり得ると考えられます。いわゆる3要件、①秘密として管理されているかどうか(秘密管理性)、 ②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であるかどうか(有用性)、 ③公然と知られていないものであるかどうか(非公知性)が検討事項となります。
具体的事情を踏まえ、弁護士に個別に相談なさった方がよいケースであるように思われます。
少し視点を変えて考えてみると、刑法上の偽計業務妨害罪に該当する可能性があるかもしれません。
仮に、不正競争防止法上の営業秘密にあたらないとしても、偽名を用いていること(貴社に本当に入社するために応募したのであれば、偽名を用いる必要性はなく、そもそも人材採用業務の性質上、氏名等の応募者情報に虚偽があってはならないはず)、貴社と競業関係にある企業の関係者であること(何らかの不正•不当な動機•目的から偽名等を用いて他社の採用面接を受けた可能性あり)等に鑑みれば、偽計を用いて貴社の人材採用に関する業務を妨害したと言える可能性はあるかもしれません。
録画もあるのであれば、明確に証拠があるため、刑事告訴をしてみることも選択肢の一つかもしれません。