認知の進んだ祖父祖母の対応と事故責任に関する法的相談

私の祖父祖母についてのご相談です。

母の両親の認知症が深刻化しており、母が1人で数年以上身の回りの支援や施設の手配など行っていましたが
娘である母の言うことを聞かず常に攻撃的な対応であり、長年説得してどうにか入れる施設も用意しましたが直前で拒否し始めて騒動になり白紙になるなど手がつけられない状況です。

本人達としては母の助けを一切必要しないと言い続けていること、免許更新の為の精神科の診断で認知症の疑いありとはされつつも免許の更新ができていました。

長年辛抱強く様子を見に行き生活を手伝っていましたが頑固な祖父の行動で警察沙汰なることもあり、毎回長時間かけて田舎への世話を繰り返す母が精神的に疲弊し体調を崩すことも度々だったため、家族で話し合い祖父祖母本人とケアマネや警察、関係者の方へもう母が関与できないことを伝えて距離を置きました

祖父祖母の主張としても医師や警察署の判断でも免許の更新はできているので公式には問題ないという判定であるとは思いますが

親族目線ではいつ事故を起こしてもおかしくない状況であり、止められる手立てが無い状況のため、せめて万が一祖父祖母が他者を巻き込んだ事故を起こした場合にも母が責任を被らないようにしたいと思っています

・自力で免許更新を行っている祖父がなんらかの事件事故を起こした場合に母や親族に賠償が来るようなことはあるでしょうか、ある場合に防ぐ手立てはありますか

備考として
祖父祖母の家族は母以外亡くなっており、母の子供や家族は私含めかなりの遠地にいるため介護対応などができません。母の家から祖父祖母の家までも近い距離ではなく、1日掛けて往復できる程度の距離です

>・自力で免許更新を行っている祖父がなんらかの事件事故を起こした場合に母や親族に賠償が来るようなことはあるでしょうか、ある場合に防ぐ手立てはありますか

→ 考えられる対策としては、祖父に確実に任意保険に加入してもらうことでしょう。
 
 次に、認知症の親の監督責任について説明します。
 まず、認知症を患っている親が他人に損害を負わせた場合、認知症の親は責任無能力として賠償責任を負わない可能性があります(民法713条)。
 認知症の親が責任無能力者とされた場合、親を介護している家族に対し、法定の監督義務者にあたるとして、監督責任に基づく損害賠償請求がなされる可能性があります(民法714条1項)。しかしながら、家族であるというのみで、法定の監督義務者にあたる訳ではないとされています。
 この点に関し、以下の有名な判例があります(ご投稿内容及びこの判例からすると、あなたの母親は法定の監督義務者や監督義務者に準ずべき者にはあたらないように思われます)。

【最高裁判例】
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85714
(裁判要旨)
1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。
2 法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として,民法714条1項が類推適用される。
4 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの長男Y2がAの介護に関する話合いに加わり,Y2の妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながらAの妻Y1によるAの介護を補助していたものの,Y2自身は,当時20年以上もAと同居しておらず,上記の事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないなど判示の事情の下では,Y2は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。