叔母の相続放棄に関する疑問と手続きについて

叔母が先月孤独死をしました。
叔母は独身で両親は他界、身内は兄である私の父しかいません。現在私は高齢の父と一緒に、叔母の死後の手続きを進めています。
昨日初めて叔母の家に行ってきましたが、死後2、3週間発見されなかった為、ペットのチワワも亡くなっており部屋にそのまま放置されていました。またゴミの量も物も多く想像以上に酷い状態でした。
現在確認できている叔母の預貯金は、火葬代と特殊清掃、遺品整理代をまかなえるくらいでした。
郵便物を確認したら、高額では無いクレジット会社の請求書等がありましたが、他にローンが無いかは分からない状態です。
他には住んでいた古い持ち家と車がありますが、こちらのローンは無いようです。
父は、相続放棄も視野に入れているようですが、まずは家を綺麗にしないとと思っているようです。
そこで質問ですが、相続放棄をすることにした場合、家の清掃から遺品整理までしても問題ないのでしょうか。また父が相続放棄をする場合、子(叔母の姪、甥)である私と弟も相続放棄の手続きが必要になりますか?
叔母の家は遠く気軽に行けず、何から手続きをすれば良いのか困っています。
負債が大きく無ければ相続放棄をする必要もないのか等悩みは尽きません。
現状のまま家を放置しておくのも近隣の方に申し訳なく、どの手順で進めていけばいいか等もご教示頂けるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いします。

相続人が相続財産を「処分」したときは、単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなります(民法921条1号)。
この点につき、下級審の裁判例ではありますが、相続財産に属する預貯金を葬儀費用に充てたとしても、社会的見地から不当なものとはいえず、相続財産の「処分」には該当しないとするものがあります。
また、特殊清掃や遺品整理についても、預貯金を葬儀費用に充てたとしても、社会的見地から不当なものとはいえず、相続財産の「処分」に該当しないと解釈できる可能性はあります。
ただ、特に遺品整理は財産処分という側面があるため、単純承認事由に該当すると解釈される可能性もそれなりに高いものと考えられます。
とすると、相続放棄をお考えであれば、特殊清掃や遺品整理はやめておいた方がいいと考えられます。

相続放棄は代襲原因とならないので、お父様が相続放棄をされれば、そのお子様たちは相続放棄をする必要はありません。

今後については、叔母様の死亡を知った日から3か月以内(家裁に延長申請可)に
①相続放棄をする(火葬は別として、遺品(争いの余地あり)や不動産の処分はできない。遺品や不動産の処分をするには、相続財産清算人の選任申立て等をする)
②限定承認をする(遺品や不動産の処分をすることができ、負債については相続財産の範囲で債務を弁済すればいいが、限定承認後の手続きが複雑であることや税金上の不利益がある)
③単純承認をする(遺品や不動産の処分をすることができるが、負債について責任を負う)
のいずれかを選択することになります。
なお、上記選択を行う前に、弁護士等に依頼して、可能な範囲で負債を調査してもらうことも考えられます。

島田先生、ご回答ありがとうございます。
信用情報機関へ情報開示請求はしようと思っていますが、このような事案の場合①〜③のどれが一般的だと思われますか。

不動産があり資産に余裕がありそうなことを考えると、単純承認を選択される方が一般的には多いのではないでしょうか。
万が一のリスクも避けたいのであれば、限定承認がいいと思います。

ありがとうございました。
父と検討してみます。