経歴詐称による資格手当て受給が横領罪に該当するか。
経歴詐称について質問させていただきます。
持っていない資格を詐称して
会社から資格手当てをもらった場合
横領罪になるのでしょうか?
横領罪は「自己の占有する他人の物を横領した」(刑法252条1項)場合に成立しますが、今回は該当しないでしょう。
ただ、詐欺罪は成立し得ると考えます。
資格を有していないにも関わらず、資格を有していると相手を錯誤に陥らせ、誤った認識のもとで金銭の支払いを受けているため、詐欺罪となり得るでしょう。
土屋先生ありがとうございます。
今までの経験上経歴詐称で刑事罰や
損害賠償になった事案はご存じですか?
東京地裁判決平成27年6月2日(労働者が職歴を詐称しそれを前提に積極的に賃金の上乗せを求めた事案)は、以下のように述べています。
「労働者が,前記のように申告を求められ,あるいは確認をされたのに対し,事実と異なる申告をするにとどまらず,より積極的に当該申告を前提に賃金の上乗せを求めたり何らかの支出を働きかけるなどした場合に,これが詐欺という違法な権利侵害として不法行為を構成するに至り,上乗せした賃金等が不法行為と相当因果関係のある損害になるものと解するのが相当である。」
この事案では、増額された賃金月額20万円分が損害額として認定されています。
ありがとうございます。
労働者が職歴を詐称しそれを前提に積極的に賃金の上乗せを求めた事案と書かれていましたが。
例えば職歴詐称で在籍期間を偽り
その履歴書を企業側が勝手に参考にして
基本給を高く設定していた場合
もし企業側が経歴詐称していた者に損害賠償を請求した場合裁判所は認めてもらえるのでしょうか?
上記基準からすると、損害賠償が認められる可能性は低いでしょう。
しかし、ご相談者様が設定した前提の「履歴書を企業側が勝手に参考にし」たかどうかが、裁判で争点になり得るでしょう。
ありがとうございます
職歴詐称の賠償金は
職歴詐称を材料に積極的ベースアップを交渉した場合は損害賠償は認められる可能性はあるが
企業側が職歴詐称の履歴書を元に基本給を高くしても損害賠償が認められる可能性は
低いということですよね?
あとは履歴書を企業側が勝手にさんこうにしたかは争点になると
あくまで裁判例の一つではそうなっているという留保はつきますが、そのようなご理解でよろしいかと思います。
ありがとうございます
あくまで裁判例の一つではそうなっているという留保はつきますがとは
どういう意味ですか?
ご紹介した裁判例は地方裁判所の判断なので、基準としての力はそれほど強くありません。
仮に、裁判になったときにはその裁判所が違う基準で判断する可能性もありますよ、ということです。
ありがとうございます。
この職歴の在籍期間を水増しにする行為は
詐欺罪にあたいするものなのでしょうか?
どのような職歴を何年間水増しして詐称し、資格手当をいくら受給していたのかが不明なので、一般的な回答になりますが、
詐欺罪が成立する可能性自体はあります。もっとも、詐称の程度がよほど悪質で、詐取した金額が多額にわたるということがない限りは、事件化の可能性は低いと思います。
ありがとうございます
例えば本当の在籍期間を3ヶ月の所を6年と
偽る行為はどうでしょうか?
持ってない資格は詐称していないパターンではどうなるのでしょうか?