他社の人の作業を手伝ってケガした場合、労災になるか?

産業廃棄物を収集運搬業者に引渡す際、収集運搬業者の作業員が運搬車に廃棄物(ポリ袋梱包のもの)を積込みます。そのとき、自社の立ち会い担当者が自発的に産廃の積込みを手伝っています。(会社の指示がありません。)先般、所定の置き場に積まれたポリ袋が崩れて、その立ち会い者は、肩と足を打撲しました。
この場合、労災に該当しますか。
また、以前、他の作業場の作業員が、積込み作業を見て、その立ち会い者の上司に、担当外の仕事をしていると
連絡したそうです。この場合、上司が知っていた場合(なんの措置も取らなかった場合)は、労災になりますか。

労災保険給付認定要件のうちの「業務災害」該当性についてのご質問と思います。
業務災害と認められるには、①業務遂行性を前提に②業務起因性のある災害が生じたことが必要となります。
本件で問題となるのは主として「業務遂行性」と思われます。

この要件については、自己の業務に従事している場合のみならず、業務従事外でも事業主に指揮監督を行う余地があれば
事業主の支配下におけるものとして業務遂行性が認められる余地があるとされています。
たとえば、本件事案における「所定の置き場」がどこかわかりませんが、会社の管轄下にある場所であれば、事業主の指揮監督の余地がありますので、
業務遂行性が認められる余地があります。
また、「自発的」作業で、本来の担当業務でないとしても、「積極的私的行為」とでもいえない限りは、会社の業務を支える目的で行ったことになるので、
業務遂行性が同様に認められる余地があります。
最後に、上司の認識については、認識した上で黙認していたとすれば、より強固に「業務遂行性」を認める要素となりますが、知らなかったとしても、前述のとおり、事業主の指揮監督の及ぶ場所での事故である限り、「業務遂行性」は認められる余地があります。

労災該当性についてご不安があれば、一度、最寄の弁護士会の労働相談を受けてみてください。