# 職歴詐称に関する法的措置についての質問

会社の従業員が 職歴詐称(在籍期間)をしていたことが 判明しました。 職歴詐称(在籍期間)3か月しか勤務していないのに、6年勤務と偽っていました。 学歴・募集資格等に詐称はありませんでした。 ハローワークの求人標には「経験不問、知識不問、技能不問」と記載しました。 ただ、前々職の話を聞いたことが採用の決め手となりました。 また、前々職の話を聞き、通常よりも2万円程度賃金を高く設定しました。(基本給) この場合 従業員を解雇にしたり。 詐欺罪にしたり 損害賠償請求(高く設定した給料)を することはできるのでしょうか? 【質問1】 従業員の解雇は出来るのでしょうか? 【質問2】 詐欺罪として立件できますか? 【質問3】 損害賠償請求(高く設定した給料)を できますか? 宜しくお願いいたします。

1 質問1について
 いわゆる裁判所は以下のような基準を用いて判断することが多いと思います。

 企業において、使用者は、労働者を雇用して、個々の労働者の能力を適切に把握し、その適性等を勘案して労働力を適切に配置した上で、業務上の目標達成を図るところ、この労使関係は、相互の信頼関係を基礎とする継続的契約関係であるから、使用者は、労働力の評価に直接関わる事項や企業秩序の維持に関係する事項について必要かつ合理的な範囲で申告を求め、あるいは確認をすることが認められ、これに対し、労働者は、使用者による全人格的判断の一資料である自己の経歴等について虚偽の事実を述べたり、真実を秘匿してその判断を誤らせることがないように留意すべき信義則上の義務を負うものと解するのが相当である。そうすると、労働者による経歴等の詐称は、かかる信義則上の義務に反する行為であるといえるが、経歴等の詐称が解雇事由として認められるか否かについては、使用者が当該労働者のどのような経歴等を採用に当たり重視したのか、また、これと対応して、詐称された経歴等の内容、詐称の程度及びその詐称による企業秩序への危険の程度等を総合的に判断する必要がある。
 
 そうすると、ご相談者様が実際には採用の決め手を前々職の話を聞いたことということは主観にとどまる可能性があるため措くとして、「経験不問、知識不問、技能不問」との求人票の内容という客観的情報からすると、本件の職歴詐称が解雇事由として認められる可能性は低めに見積もった方がよいと考えます。

2 質問2について
  捜査機関が本件で動くのは、厳しいのではないかと思います。

3 質問3について
  上記1から信義則上の義務違反として損害賠償請求しうる余地はあると思います。

土屋先生ありがとうございます
損害賠償ですが
高く見積もった損害賠償は取り戻せるかもしれないということでしょうか?

低く見積もる云々は、解雇の有効性についての話です。
損害賠償請求は、信義則上の義務違反から導かれるものです。1つの考え方として、2万円×当該従業員の貴社での在籍月数を請求するということはあり得ると思います。

土屋先生ありがとうございます。
解雇できる可能性は低いということですよね?
あと損害賠償ですが もし認められても
従業員が自己破産した場合は泣き寝入りしかないのでしょうか?

解雇できる可能性は低いということです。

自己破産の場合は損害賠償請求をどのように構成するかにもよります。不法行為に基づく損害賠償請求であれば、非免責債権として請求できる可能性があります(破産法253条1項2号)。

土屋先生ありがとうございます
これまでの経験でこの場合ですと
非免責債権となるのでしょうか??
宜しくお願いします!

非免責債権については、悪意で加えた、という厳しめの要件が課されており、信義則上の義務違反に基づく損害賠償請求権が悪意で加えたといえるかどうかについては、難しいのではないかと思います。

土屋先生ありがとうございます。
難しいということは自己破産が認められる可能性が高いということですか?

自己破産によって損害賠償請求権が免責される可能性が高いということです。

土屋先生ありがとうございます。
免責されてしまった場合一円も取れないと
いうことでしょうか?

相手方に配当するべき財産があれば、破産管財人が債権者全員に配当します。その後、免責手続が行われます。
もっとも、相手方に配当するべき財産がなければ、配当はなく、免責手続が行われます。

前述した2万円×当該従業員の貴社での在籍月数で算出された額が一定以上(50万円を下回ると厳しいと思います。)であったり、解雇を検討されるのであれば、費用対効果の観点からも弁護士が介入して然るべきと思いますので、具体的な内容を弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

以上で回答を終了いたします。

土屋先生ありがとうございます
もう1ついいですか?
今までの経験でこの損害賠償の場合、経歴詐称と
損害の因果関係を立証できますでしょうか?
あとこの従業員は親と同居していて
その従業員が払えない場合親に請求はかけれますか?
持ち家なのでそれを差し押さえるとか
教えて頂けたら幸いです。
宜しくお願いします!

質問前段について、他の従業員との比較で、立証できる可能性はあると考えます。
後段について、親に対する請求はできません。

土屋先生ありがとうございます。
色々参考になりました。
親に請求をかけれないのであれば
持ち家を差し押さえるとかは無理ですよね?

相手方本人の持ち家であれば、差し押さえられる可能性はあります。相手方の親の持ち家なのであれば、差し押さえはできません。

土屋色々参考になりました。
ありがとうございます
損害賠償金は本人以外には請求をかけれないんですよね?
持ち家は名義人が本人しか差し押さえは
無理ってことですよね?
その従業員は親とその従業員の弟と一緒に住んでるのですが
持ち家が名義人が弟であっても差し押さえは無理ですよね?

本人が請求の相手方となります。
本人の弟が所有している家に対しては差し押さえはできません。

おそれいりますが、ご質問に対する回答はこれで終了いたします。引き続きご質問がある場合には、メールにて面談予約の上で、面談にてお聞きください。

色々とありがとうございました。
また宜しくお願いします!