父の入院費用と身の回りの整理に関する行為が相続放棄に影響するか
数十年会っていなかった父が、急きょ入院したとの知らせがありました。
命はとりとめましたが、脳挫傷のため、ほぼ意識がなく、会話もできない状態が続いています。
医師からは、会話できるようにまで回復する可能性はかなり低い、と言われています。
父には、多額の借金があると思われれるため、将来的には、相続放棄をすることを念頭においています。
一方、直近で以下が課題になっており、対処が必要になりそうです。
1.直近の入院費用の工面・・・父の口座から引き出しを行い、入院費用としたい。暗証番号はわかる。
2.父の身の回りの整理(アパートの解約、携帯電話の解約、など)
これらの行為は、将来、相続放棄の支障になるものでしょうか?
1つ追加で質問させて頂けますか。
生前であれば、父の債務を父の口座から引き出したお金で弁済しても、相続放棄はできる、かつ、私は債務を引き継がない、と考えて良いでしょうか?
相続放棄には影響ないが、代位弁済と捉えられて私が債務を引きついでしまう恐はないか、を気にしています。
・アパートの家賃(含む、滞納分。10万程度。)
・その他債務(個人間、消費者金融、他?詳細は現時点で不明ですが、数百万?)
単純承認を規定する民法921条1号は、相続開始後の事情を問題としています。
そのため、生前にご記載の行為を行っても相続放棄はできると考えられます(何にいくら使ったかは証拠を残しておく。)。
他方、死亡後にご記載の行為を行うと、民法921条1号に該当し、相続放棄ができなくなる可能性がありますので、ご注意ください。
なお、死亡後の注意点は以下の通りです。
・遺体を引き取っても相続放棄は可能(火葬、埋葬費用を故人の財産から支出しても相続放棄は可能と考えられていますが、およそ紛争に巻き込まれたくないなら自己の財産から支払う)。
・遺品を引き取る場合は、当面保管し、相続人(ないし相続財産清算人)が決まったら引き渡す。
・入院費等を支払う場合は、自己の財産から支払う(連帯保証人として署名しなければ支払い義務はありません。)。
・3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を届け出る。
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
ありがとうございます。
生前に記載した行為を行う場合は、相続放棄の観点からは問題ないと理解しました。
現在、入院費等の支払いは、私が一時的に立て替え払いを行っていますので、相当額を父の口座から引き出しておこうと思います。説明が必要な時にそなえて、領収書等は保管しておきます。
死亡後の注意点もありがとうございます。
入院費は、息子として連帯保証人になっていますので、気をつけたいと思います。