債務不履行の立証責任について

無人洗車場で洗車機と車の接触による破損に対する債務不履行責任による損害賠償で係争中です。

一審の判決では、車の停車位置が適正であったかどうかが争点になりました。
この点、債務者(被告)は防犯カメラや洗車機のログ等一切客観的な証拠を提出しませんでしたが、債権者(原告)側が適正な位置に停めたことを立証できる証拠がないとし、請求棄却とされました。
債務不履行責任は債務者に過失がなかったことの立証責任があると思っておりましたが、立証責任が転換されるケースがあるのでしょうか?
控訴期限が2週間なので早急にご回答お願いします。

債務不履行に基づく損害賠償請求をする場合、
① 当該債務の発生原因
② ①の不履行(債務の本旨に従った履行をしなかったこと)
③ 損害の発生、金額
について、債権者が主張立証する必要があります(請求原因)。

貴方の仰る点は、民法415条1項ただし書の「免責事由」の点なのかもしれませんが、免責事由が存在するという評価を根拠付ける事実の主張立証責任は確かに債務者側にあります(抗弁)。なお、免責事由が存在するという評価を障害する事実の主張立証責任は債権者にあります(再抗弁)。

ただ、いずれにしても、上記の抗弁・再抗弁というのは、理論的に、請求原因の主張立証がなされていることが前提です。貴方のケースで、裁判上、具体的にどのような主張立証等の攻防がなされたのかは不明なのですが、【車の停車位置が適正であったかどうか】という争点は、②の関係で問題になったのだと思います。つまり、「車の停止位置が適正であったにもかかわらず、○○○といった事実があり、債務者が債務の本旨に従った履行をしなかった」と主張立証できたかどうか、ということだと思われます。第1審としては、そもそも②の主張立証が不十分ということで、請求棄却の判断をしたのではないかと推察されます。

すでに弁護士に依頼済みということですので、まずはその弁護士とよく打ち合わせをすることが必要だと思います。

ご回答ありがとうございます。
停止位置が適正であったどうかの立証は債権者が負うのでしょうか?
適正でなかったことを債務者が立証責任を負うものと考えておりました。

>停止位置が適正であったどうかの立証は債権者が負うのでしょうか?

既に回答したとおりでして、停止位置が適正であったことは、債務者が債務の本旨に従った履行(洗車機の動作による洗車)をするための前提事実だと思われるので、債権者に立証責任があると考えます。停止位置が適正だったのに、洗車機の誤作動等があったということであれば、債務不履行になり得ます。

>適正でなかったことを債務者が立証責任を負うものと考えておりました。

依頼した弁護士がどのようにお考えなのか分からないのですが、もし停止位置が適正でなかったことを債務者が立証しなければならないとお考えなのであれば、(私見では奏功するようには思いませんが、)そのように構成・立論した上で控訴すればよいように思います。

ありがとうございます。
大変参考になりました。