東京在住で大阪の母親の相続に代理人を立てたい。弁護士の選択と準備事項について相談

現在、東京に住んでいますが、大阪に母親と弟夫婦が同居しています。しかし、母親が歳を取り、相続の準備が必要な状況です。母親はいわゆる富裕層レベルの資産を有している状況で、相続のタイミングで弟と直接、交渉して揉めるのは避けたいので代理人を立てたいと考えています。
この場合は、大阪の弁護士の方に依頼すべきか、東京の弁護士に依頼すべきかどちらが良いでしょうか。
また、相続タイミングの前に、準備すべきことはあるでしょうか。

ご自身の代理人として、相続の際に遺産分割等を代理して交渉するために弁護士を立てるのであれば、コンタクトの取りやすい東京の方が都合の良い場面が多いかと思われます。

事前に準備をということでしたら、
基本的には重要な人・物の場所でお考えになるべきでしょう。

今回で言うと、相続前の対策ということですと、大事なのは「母親」です。
相続税対策をするにしろ、公正証書遺言等をするにしても、直接会って説明する必要や、体調の良い時期を見計らう必要があるので、アクセスのよい地域の弁護士の方がよいと思います。
他方、ご自身と弁護士とのやり取りに関しては、今はメールやweb会議等での対応もできますので。
相続開始後ということでしたら、特にどちらということはないように思います。

お住まいの地域の東京に所在する法律事務所の方が相談にも赴き易く、コミュニケーションは取り易いかと思います(ただし、近時は、オンライン面談を取り入れている法律事務所も多いかと思いますので、他の都道府県に所在する法律事務所に相談•依頼することも以前よりも容易になってはいます)。
 ただし、交渉での遺産分割協議に相手方が応じればよいのですが、交渉に応じないような場合等には、遺産分割調停を申し立てる必要が出て来るかもしれません。また、母親が遺言を残していた場合、遺言の有効性を争う、遺留分侵害額請求権を行使する等の検討を要することになります。
 このような紛争に発展する場合、より密なコミュニケーションを図る必要が出てくるため、紛争に発展する可能性等も踏まえて、相談する法律事務所をお決めになられるのが望ましいように思います。

>また、相続タイミングの前に、準備すべきことはあるでしょうか。
→ 可能な範囲で、遺産の対象となりそうな財産を把握しておくことが考えられます。また、お亡くなりになる際の判断能力が問題になることもあるため、親御さんが施設や病院に入所•入院することになった場合には、その施設•病院は把握しておきましょう。

1 相続開始前の準備
 ⑴ 相続人の把握
 ⑵ 相続される財産の把握
 ⑶ 相続税対策(以下例)
  ア 生前贈与
  イ 生命保険の非課税限度額を利用
   する
2 大阪か東京の弁護士どちらが良いか
  相続税対策をする際、母親及び質問
 者様に弁護士が話を聞くことがありま
 す。その際に、質問者様か母親のどち
 らが移動しやすいかという観点から考
 えると、質問者様のほうが移動しやす
 いと思います。
  かかる観点から、大阪の弁護士が良
 いのではないでしょうか。

先々を見据えた事前のご準備・問題意識という点では、
・推定相続人の範囲(戸籍関係)
・遺言作成予定等の有無、お母様の認知能力等の問題
・遺産の範囲(預貯金、不動産、株式等)
・他の推定相続人等による使途不明金等の問題が生じないかどうか(預貯金履歴の確認)
といったところを意識されておくとよいように思います。

代理人弁護士については、東京・大阪どちらも考えられると思います。交渉であれば、地域はさほど問題にはなりませんし、仮に遺産分割調停になった場合(相手方の住所地を管轄する裁判所に係属します。)であっても、電話会議等によって調停期日の対応をすることも可能です。