所有権移転後の残置物処理と第三者の侵入に関する法的責任について
はじめまして
都内にて、中古物件を残置物を残っている条件で、相場より安く購入しました。残置物の処理については、購入者である私が責任を持って処分するということで契約し、前所有者より承認を得ています。
また物件は、契約不適合責任を免責(現状渡し、瑕疵担保責任を免責)で契約をしました。
所有権移転後、前所有者の知り合いの方が数度、留守中に残置物を複数点、持ち帰りました。前所有者から鍵を預かり、前所有者から許可をもらったそうです。契約時に鍵の交換は行っておらず、私が持っている鍵以外の鍵が存在していることは知りませんでした。
現所有者である私は、残置物の処理や物件への侵入について、許可していません。
残置物を持ち帰った第三者の方は所有権が私にあることは知っていましたが、残置物の処遇については知らなかったそうです。
また、既に入居者がおり、前所有者の残置物と勘違いをして、入居者の持ち物、私の持ち物も一部、持ち帰っています。
この場合、
・残置物の所有権は、前所有者が残置物を残していくことを私が承諾した時点で私にありますか?
・契約不適合責任を免責していますが、前所有者が鍵をまだ持っていたこと、それを使って第三者に残置物を持っていかせたことについて、どちらにどのような責任を問うことができますか。
・所有権移転後に賃貸として第三者に貸しており、今回の件で解約となり、所有者の管理責任を問われた場合、その損害を請求するのは、前所有者か残置物を持っていってしまった方か、またはその両方か、どうなりますか。
こちらに関して、法的な見解を少しでもいただけましたら、大変助かります。よろしくお願いいたします。
補足
契約書やその他の関連文書に、残置物の取り扱いや鍵の返却について具体的な記載がありましたか?
回答: 特にありませんでした。
・「・残置物の所有権は、前所有者が残置物を残していくことを私が承諾した時点で私にありますか?」
ポイントとなるのは、残置物はそもそも前所有者の所有物であったのかになります。
「残置物について所有権主張はしないし、引取もしない」という趣旨だったようにも思われますので(契約書に明記していない以上)。
現に、第三者(真の所有者?)がわざわざ引取に来たようなので。
即時取得(民法192条)の要件も検討することにはなりますが、不動産に関する売買契約書に記載がないため、動産(残置物)について成立するかどうか、注意が足りていたかの点で難しい面もありそうです。
対応策としてですが、基本的には前所有者に対しての責任追及を考えるべきでしょう。鍵をまだ持っていたこと、それを使って第三者に残置物を持っていかせたことについては、前所有者の落ち度であることは明らかですので。
本件に関しては、「損害」というものを観念することが難しい事案なので、
既払いの売買代金額から一部返還を求めるような任意の交渉になるかと思われます。
回答いただき、誠にありがとうございます。
補足いたしますと、
・残置物の元々の所有者は前所有者であり、残置物の撤去費用を現所有者で負担するに当たり、買取可能な残置物は処分費用に当てるところまでは合意がとれておりました。書面では残置物は現所有者が責任を持って処分するという記載のみです。
・第三者には残置物の一切の所有権はなく、前所有物の単なる知り合いです。前所有者の物品を残したまま売却したことを聞き、前所有者が許可したことを理由に住居への侵入と残置物と現所有者の持ち物を持っていったそうです。
・廃品回収業社に対して、買取可能なものを処分費から差し引くという前提で依頼しており、通常の処分費から、15万円ほど値引きされていたのですが、買取り予定だった残置物がないことで、通常の処分費での処分をすることになってしまったため、その点においては直接的な損害が発生しています。
・間接的には、現所有者と賃貸契約を結んでいた住人が、本件を理由に解約を望んでおり、家賃として見込んでいた月額4.5万円の家賃収入が逸失しています。シェアハウスとして賃貸しているため、解約をしなかったとはいえ、住人の不満などが蓄積している点は損害を被っていると整理しています。
上記の補足の上で
Q.善意の第三者によって、取得された物品について、既に使用しているなどを理由に返還を求めず、損害賠償請求をする場合には、善意の第三者ではなく、前所有者に求めるべきか
Q. こういった事例の場合、購入額の一部返還、または損害賠償、慰謝料などを求める場合の相場は、どの程度が判例として妥当か
Q. 不法侵入、窃盗で被害届を出すという選択肢もある中で、示談を求める場合は前所有者に対して責任追及をするべきか、第三者の過失を追及するべきか。
もし可能であれば、見解をお教えいただけると大変ありがたいです。