落としたあと洗わなかったお椀が原因で食中毒、アルバイトか会社かどちらが責任を負うのか?
旅館の厨房でのアルバイトで、洗ったお椀の水気をふきんで拭いて、同じお椀が積んであるところに置くようにとの指示で作業をしていましたが、急かされたこともあり、厨房の床に落としてしまったものをそのまま洗わずに置いてしまいました。
そのお椀を使用して、お客さまが食中毒になり、または万が一死亡してしまった場合、アルバイトが責任を負わなくてはならないのでしょうか?それとも使用者責任で会社が責任を負うのでしょうか?
理論的には会社もバイトもどちらも責任を負う可能性があります。会社が賠償金を払った場合、バイトに全額支払った賠償金を求償できるかは旅館の厨房の管理体制などにもよりますが、全額求償しろと裁判所が判決を下す可能性は高くありません。
似たようなケースで、アルバイトが支払った賠償金額は、いくらくらいのものがありますか?
アルバイトで似たケースの裁判例は見当たりません。
この問題はアルバイトと正社員で理論的にはあまり変わらないので、正社員の裁判例などを見ますと、類似の裁判例は賠償全額の何割を負担する、という考え方が多いです。
故意又はそれと同旨できる重大な過失がないと、全額負担しろという裁判例はそれほどみかけません。
3分の1~4分の1のみという裁判例や資料をよく見かけます。
また重過失がない場合は免責されるという考え方もあるようです。
ただ死者が出るような事故となると、賠償額総額は数億になることがあり、1割でも億単位という可能性はあります。
再発防止の努力をしつつ、そういう事態になってから考えるしかないのではないのではないでしょうか。
億とはあまりにも、高額なのですね。
ロクに指導もされずにやらされていた作業なのに、覚悟を持って臨まなければいけないのですね。
億も賠償しなければならない仕事なのに、最低賃金でも問題ないのですか?
億もの高額賠償の可能性のあることを説明されてないのに、そういう事態になったら億賠償しろ、という業界、または世の中なのでしょうか?
最低賃金かどうか、高額賠償の可能性を説明されたかどうかなどは、いざ訴訟になったら減額事由として考慮される可能性は高いです。
ただ事故が起きていない段階で、相談者の方は大丈夫と断定することは出来ないのです。減額事由や賠償額の定式化がクリアになっているわけではないので。
なので、事故が起きてから考えることをお勧めします。今いろいろ考えても相談者の方が安心する結論は出てきませんし、今考えても仕方がないので。