人材エージェントを飛ばした再委託契約の可否およびリスクについて

人材エージェントを飛ばした再委託契約が可能かどうかについてご質問です。

登場人物: A社(制作会社)、B社(人材エージェント)、C氏(A社の下請け①)、D社(A社の下請け②)
私はD社の代表者の立場です。

C氏およびD社はA社の同一プロジェクトの制作業務をそれぞれ受注しているといます。C氏はB社というエージェント会社経由でA社の業務を請け負っている、つまり契約上は「A↔B↔C」、「A↔D」という関係です。

この度、C氏からB社の担当者の対応があまりにも酷いためエージェント経由での受託をやめたいという申し出がありました。しかし、A社がC氏と直接契約することは、A↔B間の契約の以下条項により禁止されています。

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(直接契約の禁止)※ 申込会社 = A社
申込会社は、本契約の終了日又は解約から1年が経過するまでの期間において、再委託先を含めた業務担当者との間で、本約款又は個別契約に定める業務と同種又は類似の業務の委託を内容とする契約を締結することを禁止する。本条に違反した場合、申込会社は、当該業務担当者との間で最後に締結した個別契約に定める業務委託料の12ヶ月分を、違約金として弊社に支払うものとする。
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上記を受けて、D社がB社に取って代わる形でA社からの受注してD氏へ再委託する形にできないかと考えました。すなわち以下の形です。
Before: A↔B↔C、A↔D
After: A↔D↔C

上記の契約書文言を見ても、別の企業を介する形での業務委託は禁止されていないように見えます。ご相談事項としては以下2点です。

① 上記の実施はA社とB社の契約上何ら問題ないと考えてよいか?
② 再委託者D社に何らかのリスクは生じるか?(法律上、会計上)

補足として、D社は便宜上間に入るだけなので、仲介手数料のようなものは全く取らない形を考えています。そのため、もともとB社が抜いていたマージンがなくなるため、A社にとってもメリットのある話となります。一方でD社は増収減益(正確には売上増加利益額横ばい、利益率低下)となるため何らかのリスクを懸念しています。

誤字がありました。以下訂正します。
誤) A社から受注してD氏へ再委託する
正) A社から受注してC氏へ再委託する

①契約書の条文解釈が争点になり得ます。
すなわち、形式的には直接契約には該当しませんが、実質的には貴社を経由したC社との契約であるとして、直接取引禁止規定の潜脱であるとの主張も成り立ち得るものと考えられ、B社に覚知された場合には問題になる(A社が違約金の請求を受ける)可能性もあります。
基本的には、A、B社間で覚書を締結するなど話をまとめていただいた方が宜しいかと存じます。

②本掲示板は法律相談に関する掲示板となりますので、法的な観点に限定した回答となりますが、一次的にB社から違約金の請求を受けるのはA社と考えられます。
もっとも、貴社がスキームの決定をA社と共同して行った場合、A社から事後的に違約金の一部について求償請求を受ける可能性も否定はできません。
そのため、仮に当該スキームを実施するにしても、A社に上記リスク(違約金を請求されるリスク)を負担して貰える状況かというところも一つのポイントになろうかと存じます。