車の買取業者とのトラブル

買取業者に車の買取査定を行なってもらいました。
査定書を渡してもらい査定額を提示頂き、有効期限は2週間で減額はしないと説明を受けました。
4日後、売却する旨の連絡をしたら相場が下がったから35万円減額と言われました。
査定書の有効期限が2週間なのに4日で減額は納得出来ないと伝えたところ、開き直って出来ないものは出来ない、赤字になるリスクは背負えない、契約書を交わしてないから減額出来ると言われました。
メールのやり取りでも提示額の期限は査定書作成日から2週間、それ以降は相場で判断と送られてきてます。
私は泣き寝入りするしかないのでしょうか?

原則的な話ですが、
契約については、申込と承諾によって成立します。

査定に関して、

査定=申込とすれば、相談者の方の売却の意思表示(承諾)で契約は成立します。

他方、
査定=申込の誘因とすれば、相談者の方の売却の意思表示(申込)に対して、業者側が承諾して契約成立となります。

「有効期限は2週間で減額はしないと説明」
やメールでのやりとりからすれば、業者側の査定は申込であったと思われます。

中古車売買に関しては、報道でもでていますが、
高めの査定額を出す⇒売主側が相見積もりの他社に断りの連絡
⇒競合を排した有利な状況で交渉するという悪習があります。

当事者間での交渉ではなかなか難しい点もあろうかと思いますので、
消費者センターであったり、弁護士への依頼、調停・ADR等の活用もご検討ください。

買取業者が査定書を提出するということは、あなたに申込みをしていただくための事実上の行為で、いわば商取引の第一歩です。 一般にこの行為を法律上「申込の誘引」と言います。
契約は、申込みとそれに対する相手方の承諾がなされた時点ではじめて成立しますが、この「申込の誘因」は、申込みの準備段階です。
査定書の交付を受けた段階では契約は成立しておらず、あなたが査定書に基づいて買取を申し込む形になりますが、買取業者が承諾をしなければ原則として売買契約は成立しません。

ただ、契約締結に向けた段階で有っても、当事者間に強い信頼関係が生じ、かつ、契約成立に向けて一方的に費用を負担したりしている場合があります。こうした場合に、一方当事者が正当な理由なく、交渉を破棄することが許されるとすると、他方当事者の信頼が害され、支出した費用等の回収の途も絶たれてしまいます。
そこで、判例は、一定の段階に至った契約当事者に対しては、契約成立前でも、信義則上の義務があるとしたうえで、契約の一方当事者が当該義務に違反した場合(契約締結上の過失に違反した場合)、当該違反者が契約の準備段階において相手方に生じた損害を賠償すべき場合があることを認めています。

※ 最判昭和59年9月18日要旨
「取引を開始し契約準備段階に入ったものは、一般市民間における関係とは異なり、信義則の支配する緊密な関係に立つのであるから、のちに契約が締結されたか否かを問わず、相互に相手方の人格、財産を害しない信義則上の義務を負うものというべきで、これに違反して相手方に損害を及ぼしたときは、契約締結に至らない場合でも契約責任としての損害賠償義務を認めるのが相当である」

上記のような契約締結上の過失に基づく損害賠償の対象となるのは、契約が成立しないにもかかわらず、契約が成立すると信じて負担した費用(これを信頼利益といいます。)に限られます。
そのような費用支出が既に想定される場合は交渉・裁判所を交えた話し合いの手続に進んだ方がいい可能性がありますが、特にそうした費用支出が想定されていない場合は、信頼できない買取業者ということで早めに縁を切って別の買取業者に査定書をお願いするべきです。