開業したばかりで困っています。
整骨院開業の為去年10月に賃貸契約を結び10月中旬に整骨院をオープンしました。
賃貸契約は2年間です。まだ契約をして3ヶ月も経っていません。
それなのに大晦日の日にいきなり建物全体を他で貸すことになったので4月下旬くらいまでに出てほしいと言われました。
賃貸契約中に他の不動産に掲載していることも知らずにいきなり言われたので困っています。
この場合初期投資にかかった費用や他の店舗への引っ越し費用など大家に請求することは可能でしょうか?
>この場合初期投資にかかった費用や他の店舗への引っ越し費用など大家に請求することは可能でしょうか?
賃貸人側の説明義務等に問題がありそうですので、一定の請求はできる可能性があるように思われます。
最寄りの弁護士に個別に相談なさることをお勧めいたします。
選択肢としては、
①立退き拒否
②立ち退き料について交渉
となります。
①に関しての懸念は、大家と関係が悪い中で契約を継続するリスク、また将来的に再度立ち退きを求められるリスクがあると思います。
②大家都合、老朽化のための修繕といった事情ではないこと、事業用であること(ただ開業間もない点をどう捉えるかという部分は要件等)ということから立ち退き料の交渉をされることが考えられます。
大家との契約書、賃貸物件の資料、営業実績などの資料を準備してご相談をされることをお勧めします。
貸主側の止むを得ぬ事情ではなく、貸主側の利益のための一方的な立退請求ですので、それにより生じる被害の補填については請求してしまって構わないでしょう。
一度個別に弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
建物の賃借人(あなた)に賃料不払い等の債務不履行がないにもかかわらず、建物の賃貸人側から中途解約の申入れがなされたとしても、借地借家法第28条の正当の理由があると認められなければ、その中途解約は認められません。
そのため、あなたとしては、生業としての整骨院の開業から(賃貸借契約をしてから)3ヶ月も経っていないこと等に鑑み、借地借家法第28条の正当の理由をみたしていないことを理由に、賃貸人からの中途解約は認められない旨の主張をして行くことが考えられます。
その上で、いわゆる立退料(「建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出」)として、初期投資にかかった費用や他の店舗への引っ越し費用などの支払いを賃貸人(大家)側と交渉して行くことが考えられます。
なお、契約書に、正当理由の有無にかかわらず中途解約が可能と記載されていても、建物の賃借人に不利な内容であり、借地借家法第30条により、無効です(すなわち、借地借家法第28条の正当理由の認められない賃貸借からの中途解約は法的に認められません)。
あなたにとっては、生業の存続に関わる重大事であり、立退料も相当額にわたる可能性もあるので、一度、賃貸借契約や借地借家法の問題に詳しい弁護士に直接相談し、今後の対策を立てられるのが望ましいでしょう。
【参考】借地借家法
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
(強行規定)
第三十条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
念のため、少し補足させていただきます。
借地借家法における建物とは、
屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物
をいいます。そして、
建物の一部であっても障壁などによって他の部分と区画され、独占的排他的支配が可能な構造・規模を有するものは、建物にあたる
とされていますが、
場所的占有の独立性がない場合に適用を否定
した判例もあります。
借地借家法の適用には、賃貸物件が建物であることが前提となりますのでご注意ください。
なお、借地借家法の適用が否定され、中途解約条項が規定されている場合には、損害賠償請求は簡単ではありません。