不貞行為の慰謝料について
4年前の不倫が理由で離婚したいと夫から主張されています。
不倫をしてからの4年間、夫婦間の肉体関係もあり、関係修復を目的としこれまでやっていました。
この場合離婚をする際に4年前の不貞行為を理由に慰謝料を請求されることはあるのでしょうか?
不貞行為は不法行為にあたり、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年経過すると消滅時効が完成します。そのため、4年前の不貞行為であれば、消滅時効が完成している可能性があります。
また、民法は法定の離婚事由として「配偶者に不貞な行為があったとき。」(民法第770条1項1号)を定めています。
ただし、裁判所は、夫婦間に不貞行為があったとしても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができるとされています(民法第770条2項)。
不倫をしてからの4年間、夫婦間の肉体関係もあり、関係修復を目的としこれまでやって来たというような事情があるのであれば、民法第770条2項が適用される可能性があるかもしれません。
いずれにしても、まずは、よく話し合われてみて下さい。当事者間での話し合いが上手く行かない場合には、家庭裁判所で円満ないし離婚調停を行うことも可能です。
【参考】民法
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
離婚慰謝料という枠組で検討すると、不貞の事実が主たる離婚原因である必要がありますが、不倫発覚後4年もの間、関係修復を目指してきたという事情を重視すれば、主たる離婚原因であるとまでは言えないように思われます。
他方、不貞慰謝料という枠組で検討すると、夫婦間の権利義務は離婚後6か月は時効完成しないという特殊な扱いになっていますので、4年前の不貞でも請求可能です。とはいえ、4年間、関係修復を目指してきたという事情からすれば、不貞慰謝料請求が当然に認められるとまでは思えないところです。
参照:民法
(夫婦間の権利の時効の完成猶予)
第159条 夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
夫婦間の不貞慰謝料の時効については、下記サイトにまとまっています。
https://rikon-isyaryou.net/faq/82/
また、離婚慰謝料についてもご留意ください。
2人の子供がいるのですが、この場合慰謝料を請求されて私自身の経済面が危うくなったら子供が夫に渡ってしまう可能性はあるのでしょうか。
7歳と5歳です。
子供達は私と暮らしたいと主張していますが、それを元に判断するのは難しい年齢なのでしょうか?
離婚する際の親権者の指定が父母のいずれになるかについてのご質問かと存じます。
父母の協議で親権者を決められない場合には、離婚調停や離婚訴訟の中で父母のいずれかを親権者と決めることになります。
裁判所が父母のいずれを親権者と判断するかにあたっては、経済面のみならず、これまでの監護•養育実績、離婚後の監護•養育体制、監護補助者の存在、子の年齢•意向など諸般の事情が考慮されます。
あなたとしては監護実績、監護体制等をアピールして行くことになろうかと思います。また、お子さんの年齢からするとお子さんの発言がそのままダイレクトに考慮される訳ではありませんが、7歳と5歳のお子さんがあなたと暮らすことを希望されていることも、あなた側に有利な1つの事情として考慮される余地はあるかと思います。