遺産分割協議書手続き終了後、相続人が死去。異議がある場合は認められる?

姉の相続についてのご相談です。(令和2年死去)

状況です。
姉夫婦には子供は無く、相続人は母と義兄の2人だけです。(父は令和元年死去)
姉の葬儀当日、母はいきなり義兄から相続放棄を迫られました。
義兄が母に渡した相続放棄を主張する資料は、姉が日頃、私や母に話していた事とはあまりにも違い、義兄と母はその件で文書のやり取りをしましたが全く話が通じず、そして明らかに姉の意思ともかけ離れている内容でした。

相続人である母は、姉の死去の半年前に夫を亡くし、自身はがんを患い副作用の影響により精神科から退院したばかりで相続放棄の話の対応が出来る状態ではありませんでした。
納得は出来ませんでしたが話が平行線だったことと自身の病気もあり、精神的に持たない事もあって義兄が自作した遺産分割協議書にサインをしました。
母はただ、娘が生きた証として法定相続分を主張しただけで、それ以上のものは要求などしていませんでした。
子供も居なかったので、殆どは義兄が相続出来たにもかかわらず一切折れませんでした。

しかしその1か月後、義兄が突然死し、それにより義兄の両親に姉の全ての財産が渡りました。
義兄の両親は姉の財産には一切私達親子に触れる事は今現在ありませんし、姉の財産がどの位あったかも知らないままです。

当初、弁護士さんに無料相談もしました。
葬儀当日にそのような事を言うこと自体、非常識という見解と義兄から渡された資料の内容等を見せると正確ではない個所の指摘もありました。
そして私や母が思っている事は主張しても問題ない(当たり前の言い分という意味)と言っていただけましたが相続人は母なので、そのような健康状態の母には明らかに無理であろうという判断にならざる負えなく、協議書にサインをした次第です。

協議書にサインし手続きも終了していますので今の時点でこのような質問をすること自体、間違っている(遅い)ことかもしれませんが、父が健在で母が病気でなければサインは絶対にしなかったはずでしたので、どうしても質問したく投稿させていただきました。

質問したいこと。
手続きが終了し、相続人だった義兄が亡くなった現在、法定相続分を改めて主張出来るものですか?
出来るとすれば、娘である私が代理人として出来ますか?
(義兄が相続放棄をさせるために母へ渡した文書、姉のエンディングノート、姉から私へのメール、自作の遺産分割協議書の書類等は取ってあります)

清水弁護士様、もう一つ聞きたいのですが、分割協議書そのもの自体に不備がない場合は、その他の相違を主張しても法定相続分を改めて主張は出来ますか?

複雑なご事情のあるご事案ですね。

遺産分割協議書が有効であり、内容に不十分な点がなければ、お姉様の遺産は、その協議書に基づき、義兄が一旦全て相続し、義兄の死亡により、義兄の父母がさらに相続することになろうかと思います。

ただし、遺産分割協議書が錯誤等で無効•取消しとなる場合や協議書の内容が不十分(遺産に漏れがある等)の場合には、何らかの遺産を相続できる余地もあるかもしれません。

この掲示板での簡易な相談では、証拠も直接確認できず、回答にも限界があるので、お手もとの証拠を持参の上、お住まいの地域の弁護士に直接相談なさってみるのが望ましいように思います。

ご回答、ありがとうございました。
やはり直接、経緯や書類等を持参しなければわからないことだらけですよね。
今更、そんな事を言っても終わったものは仕方がないと言われて終わりかと思って投稿したので。。。
ご回答に感謝いたします。ありがとうございました。

清水弁護士様
再度の質問でお手数をおかけいたします。
仮に弁護士事務所へ出向き遺産分割協議書を見せ、不備がないと判断された場合は、その他の資料やそこまでに至る経緯を説明しても協議書に署名と印をしてある以上、主張しても無駄な事ですか?

経緯や当時のお母様の判断能力等によっては、意思能力無効(民法3条の2)、公序良俗無効(民法90条)、錯誤取消し(民法95条)を主張できる可能性があるかもしれませんが、いずれの主張も裁判所は簡単には認めない可能性があります。
 これらの主張を真剣に考えるとなると、詳しい事情や証拠の検討を要しますので、この相談掲示板での簡易な回答の守備範囲を超えており、お住まいの地域の弁護士に直接相談なさるのが望ましいでしょう。

【参考】民法
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。