パワハラ。退職してから訴えると不利?

会社でセクハラとパワハラ、会社からの揉み消しにあいました。

訴状を書きながらあと1ヶ月ほど勤めて退職したら、加害者を民事訴訟、会社を労働審判かあっせんにかけて慰謝料請求する予定です。

「裁判やるなら、退職して過去のことを責めるよりもいま在籍してて困ってるんです、のほうが裁判官が同情してくれると思うんです。在籍しながら訴えた方がいいのでは」と同僚から言われて引き留められました。

実際そんなことあるのでしょうか?

一般の感覚で言うと、「退職に追い込まれてしまった」も同情されそうですし、
すでにやってしまった不法行為が在籍してるか否かで変わるようには思わないのですが…。

裁判所には在職中・退職後の両方の事案が持ち込まれていますので、どちらのタイミングにするかで決定的な違いはないように思われます。
むしろ、どのような行為をセクハラ、パワハラと主張し、どのような証拠で立証して行くのかという視点が重要かと思います。
証拠十分というのであれば、在職中から訴訟提起等の行動を起こすことも考えられますが、現在も、セクハラやパワハラと思しき行為があるのであれば、それを証拠化しておき、退職後に行動を起こすことも考えられます。
なお、会社側からの解雇と異なり、退職届を出した上での退職は労働者側の自らの意思による行動と外見から思われがちのため、退職に追い込まれる程のセクハラ・パワハラがあるようであれば、その経緯・状況等を録音する等の証拠化をしておくことが考えられます。

なお、裁判官の同情という不確定要因に過度の期待をすることは得策ではありません。むしろ、証拠や具体的な事実を踏まえて粛々と審理が行われ、法律や過去の裁判例等に照らした判断を行い、証拠不十分、事実が認定できない等を理由に、ハラスメントの認定を否定する裁判例もありますので、ご留意下さい。

ご本人で訴訟等をなされるのであれば、どのような言動がハラスメントと認定されているのか、裁判例等を実際に見てみるのも参考になるかと思います。
裁判所の裁判例検索サイトや厚労省のハラスメントに関するサイト等で裁判例を見ることができると思います。

清水弁護士、仔細で丁寧なご回答ありがとうございます。

>なお、裁判官の同情という不確定要因に過度の期待をすることは得策ではありません。

やはりそうですよね。証拠に基づいて粛々と第三者目線で裁定しなければむしろ、一歩間違えば加害者が過度に不利益を被る可能性があるわけで。裁判は「裁判官がかわいそうな人を決める」というものでは本来ないですし…

証拠をこつこつ増やして、判例、労働局、弁護士、パワハラ裁判経験者から実際に話を聞くなど参考していた中で同僚に投げかけられ、考えたこともなかったので念の為お伺いしました。お答えいただいて大変助かりました。