1. 虚偽報告による被害申告に対する起訴時期の制限期間は
私から被害(マタハラ)を受けたと取引先のBさんが、虚偽の被害を私の会社に報告した場合
①発生時期から何年以内に裁判を起こさないといけないのか?
②私側が、マタハラが無かったことの立証は不要なのか?
①:
名誉棄損という構成であれば、損害および加害者を知ったときから3年が時効期間となります。
②:
貴方が相手方に対して名誉棄損の損害賠償請求をする場合、貴方においてマタハラがなかったことを立証するのではなく、相手方側が責任を免れるための反論として、貴方から問題のある言動等がなされ、それがマタハラに該当することの主張立証を試みます。この相手の反論に対して、貴方としては、そのような言動等はマタハラに該当しないという再反論をしていくことにはなりますが、そのあたりは、(証拠によって認定されるか、当事者間に争いのない)言動等がマタハラに該当するかどうかという評価に関わる問題となって、なかなか難しい判断になることが予想されます。
なお、マタハラとは、一般に、女性労働者が妊娠・出産等に関連して「職場で」嫌がらせを受けたり、不利益取扱いを受けることをいいますので、「取引先」のBが貴方からマタハラを受けたという言い分にはやや違和感を覚えます。セクハラという言い分なのかもしれませんが、仮にそうだとしても議論の枠組は上記と同様です。
(参考判例: 最高裁判所昭和41年6月23日第一小法廷判決)
「民事上の不法行為たる名誉棄損については、その行為が公共の利害に関する事実に係りもつぱら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときは、右行為には違法性がなく、不法行為は成立しないものと解するのが相当であり、もし、右事実が真実であることが証明されなくても、その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるときには、右行為には故意もしくは過失がなく、結局、不法行為は成立しないものと解するのが相当である」