離婚協議中の録音データの有効性と裁判における影響

夫の不貞により離婚協議開始。

離婚は不可避との合意の上で次の事柄を行いました。

・夫は、子供(2人)の大学の学費と生活費を全額負担。
・妻は、夫の不貞相手から慰謝料200万円を受理。
・妻は、夫の不貞を両方の両親に伝える。

その後、別居。夫は離婚調停を起こしましたが、妻は離婚するつもりは無いとの事で、調停は終わりました。

今後、裁判を検討しています。
離婚協議中の録音データがありますが、それによって裁判が有利に働くことはありますか?

>離婚協議中の録音データがありますが、それによって裁判が有利に働くことはありますか?

ひとつの参考資料にはなり得ると思うのですが、あくまで協議当時の様子を記録したものなので、裁判時における離婚事由の有無という離婚訴訟の判断対象からみると、間接的な事情だと思われます。なお、ご相談のケースの場合、夫側からの離婚請求については有責配偶者による離婚請求というハードルもあります。

ご質問ありがとうございます。

ご質問者様は夫であることを前提に回答いたします。

離婚裁判をした場合は、今までの経緯から、相手は離婚を拒否する可能性があります。
その場合に、ご質問者様は離婚原因があることを証明する必要があります。
仮に離婚原因が認められる場合でも、
相手から、ご質問者様が不貞行為をしたことが原因で夫婦関係が破綻したとして、ご質問者様が有責配偶者でり離婚は認められないとの反論が予想されます。
その場合、ご記載の録音データは、ご質問者様が不貞行為をしたことを証明する証拠になり得ます(その他の証拠も出るでしょうから、その証拠がどれほどの意味があるかは別の問題ですが。)。

以上のとおりですので、仮にご質問者様が夫である場合に、離婚を求める裁判に際して録音データが離婚を認めてもらうために有利に働くか否かというご質問であるとした場合は、
有利に働く可能性は低く、不利に働く可能性の方が高いという回答になります。

ご参考にしていただければ幸いです。

離婚協議の録音データがどのような内容のものなのかによりますが、今回不貞行為について認める内容であるものの場合は、不貞行為の証拠であり、夫が有責配偶者となりますので、妻側が離婚に応じない限り離婚が認められる可能性は低いでしょう。

そのため、録音データについて上記のものである場合夫側にとっては不利であり妻側にとっては有利な証拠と言えるでしょう。

>離婚協議中の録音データがありますが、それによって裁判が有利に働くことはありますか?

内容を確認しない中での回答にはなりますが、
プラスになる、マイナスになる、特に影響なさそう、のいずれの可能性もあります。

例えば、あくまで協議過程に過ぎない(最終合意ではない)のであれば、
協議していたのと違う主張をすることもお互いでき、対して影響がない可能性はあります。

その他、不貞していないみたいな主張をしているケースなら、録音で不貞があったことの証拠になることもありうるでしょうが、
そもそも不貞に争いがないなら、録音で不貞を証明する意味がない可能性もあります。

補足です。

もし相談者さんが有責配偶者側なら、
離婚条件を譲歩することで離婚に応じてもらうよう説得する(逆に、早期離婚できないなら、学費支払い等には応じない)ことは考えられます。

追加します。

夫が不貞を認めた上での離婚協議です。
その上で、夫は妻からの条件をすべて履行したにも関わらず、妻はやはり離婚しないと言っています。

履行済みだとすると、
「学費払うから離婚してほしい」みたいな交渉は難しいですね。

そうすると、今からできることとしては、

・負けるリスクもあるが裁判
・上乗せで譲歩して、話し合いで離婚を認めてもらう

などが考えられると思います。

ご回答にあたって、前提の確認なのですが、ご相談者様は夫側でいらっしゃるのでしょうか。

また、「夫は妻からの条件をすべて履行したにも関わらず、」ということですが、
>・夫は、子供(2人)の大学の学費と生活費を全額負担。
>・妻は、夫の不貞相手から慰謝料200万円を受理。
>・妻は、夫の不貞を両方の両親に伝える。
のうち、夫側の「履行」というのはどの点なのでしょうか。大学の学費と生活費を(将来分を含めて既に)全額負担済みということなのでしょうか。

高橋様
相談者は夫側です。
夫は子供の学費2人分のうち、1人は支払済。もう1人は支払っている最中です。

>相談者は夫側です。
>夫は子供の学費2人分のうち、1人は支払済。もう1人は支払っている最中です。

補足説明ありがとうございます。
履行部分の金額にもよりますが、離婚裁判の中でのお話し合い(和解離婚の試み)において、支払済みの金額が解決金や財産分与に影響することは考えられます。
ただ、いずれにしましても、不貞の事実に争いがないか、不貞に関する確度の高い証拠を妻側が保持していれば、貴方は有責配偶者として離婚裁判に立ち向かう必要がありますが、妻側が和解離婚の試みに乗ってこない場合には、後掲最高裁判例の3要件をクリアしない限り、判決で離婚を勝ち取るのは難しいでしょう。

(参考判例:最高裁大法廷判決 昭和62年9月2日)
「有責配偶者からされた離婚請求であっても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもって許されないとすることはできない」

補足です。

有責配偶者からの離婚請求について、
従来よりは短い別居期間で離婚を認めるものも出てきていますので、

可能であれば本件の具体的事情をもとに、方針を検討してみましょう。

大雑把な説明にはなりますが、
不貞しておいて、相手や子を困窮させるとか、酷い結果になるのはまずいですが、
逆に、十分に金銭的給付をして、別に酷とは言えない事情があれば、離婚が認められやすくなる要素となります。

調停で、妻がなぜ離婚を拒んでいるのかなど(条件を上乗せすれば離婚するという趣旨なのか、離婚自体拒否したいのか、だとすれば理由はなんなのかなど)を踏まえ、対応を検討してみましょう。

村山様
夫は養育費をすべて負担し、妻は家賃がいらない住居に暮らしております。
夫は妻より困窮しております。
妻が離婚を拒む理由は意地です。私と不貞相手に対し、殺意を抱いています。

そういった事情も踏まえて、対応を検討してみましょう。

補足です、

本当に感情だけで離婚を拒んでおられる相手の場合、
話をしても無駄なケース(何を提案しても、初めから相手に応じるつもりがない)はあります。

他方で、離婚したら今後の生活が不安だから、ということで拒んでいる場合だと、
条件を譲歩することで不安が軽減され、離婚に向けた話し合いができることもあります。

いくら有責配偶者といっても、遅かれ早かれどこかで離婚が認められるので、
それだったら条件を譲歩して離婚した方がいい、みたいなケースです。

ネットだと一概にこれが、とは言いづらいですが、
相手に合わせて検討してみましょう。