血縁関係のない親の介護・扶養義務について

◆登場人物
・本人(相談者)
・母
・母の再婚相手(便宜上、以下は父とします)。
30数年前に母と再婚して(母だけ父の戸籍に入籍)現在に至る。
養子縁組のような戸籍上の繋がりは、本人とは無し)
 
◆現況
・父と母は同居。同一生計(どちらも年金生活)。
父は要介護者(要車椅子。痴呆等はないので、判断能力は正常)
母は健常
・本人とは、20数年前から、生計も住居も別
(特に、関係が悪いから別にしているということではありません)
 
★質問
もし、母が父より先に死亡して、
本人と父だけの状況になった時、
(法律的な意味で)介護・扶養義務はあるのでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。

民法第877条1項によれば、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があるものとされています。
 直系血族とは、親と子、祖父母と孫のような血縁関係を言います。親子には、実親子のみならず、養親子も含まれます。
 母の再婚相手と養子縁組をしていないのであれば、あなたと母の再婚相手とは直系血族の関係にないため、原則として扶養義務を負いません。
 ただし、民法第877条2項によると、家庭裁判所は「特別の事情」があるときは、直系血族および兄弟姉妹の他にも三親等内の親族に扶養義務を負わせることができるものとされています。
 あなたと母の再婚相手とは、一親等の姻族関係にあるため、上記の「特別の事情」があるときには、例外的にあなたも扶養義務を負うことがあり得ます。
 もっとも、「特別の事情」は簡単には認められないものと考えられています(扶養する能力のある親族が他にいない程度では足りず、扶養を要する者から過去に特別の経済的援助を受けていた等の特別な事情が必要と考えられています)。

【参考】民法
(扶養義務者)
第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

大変詳しくご説明いただき、誠にありがとうございました。
法的なラインを知りたかったので、とても助かりました。