乙による中途解約について、損害賠償や違約金の請求は可能か?

お世話になります。
弊社が乙に委託した業務委託契約についてです。

契約の期間を6か月間と定め、
契約終了の1か月前までに甲より、
若しくは3か月前までに乙より、書面による契約終了の通知がない限り、
本契約の期間を半年延長するものとする。

という条項を定めています。
契約期間中の中途解約については条項を設けていません。

現在、契約満了日まで4か月以上残っていますが
乙より11月末で中途解約をしたいと10月の末に申し出がありました。
解約希望事由を確認したところ、
想定よりもコストがかかり続けていくと赤字になるからとのことでした。

中途解約について条項を定めていませんし、
弊社としても代わりの委託先を探したり、
何らかの手立てをとる必要がある為、
せめて3か月後の解約にできないかと話しましたが
11月末で解約したいの一点張りで交渉になりませんでした。

お互いの信頼関係に亀裂が入っている為、
中途解約自体は受け入れるつもりではいます。
ですが、12月から想定していたリソースがなくなる為、
弊社としては利益が下がってしまいます。

本契約上、損害賠償請求の条項や違約金の条項も定めていないのですが
乙に対し、損害賠償請求や違約金の支払いを求めることは可能なのでしょうか?

よろしくお願いいたします。

業務委託契約の性質が請負契約か準委任契約かにより、民法上の中途解約のルールが異なります。

契約の性質が準委任契約と解される場合、受任者(受託者)からもいつでも契約を解約できます(民法651条1項)。ただし、相手方(委任者)に不利な時期に委任を解除したときは、やむを得ない事由がない限り、相手方(委任者)に生じた損害を賠償しなければなりません(民法651条2項)

他方、契約の性質が請負契約と解される場合、請負人(受託者)からの一方的な解約は認められていません(民法641条参照)。

契約書上は、損害賠償の予定や違約金の条項の定めはないようですが、
 請負契約では受託者からの一方的な解約は認められないため、乙が強引に契約を終了させようとして、あなたに損害が生じればその損害の賠償を乙に請求できる可能性があります。
 他方、準委任契約の場合には受託者からの契約解除自体は可能ですが、乙側にやむを得ない事由が認められなければ、乙による解約によってあなた側に生じた損害について、乙に対して賠償請求できる可能性があります。
 乙側がこのような民法上のルールを知らな可能性があるため、乙側に中途解約に関する民法上のルールを伝え、合意による解決(解約の時期を後ろにずらす、又は、中途解約は認めるものの、それによってあなたに生じた損害を賠償してもらう等)を目指してみるのが望ましいように思います。
 乙側が交渉に応じずに委託された業務を強引にやめた場合等には、お住まいの地域等の弁護士に直接相談する等して、あなた側に生じた損害の賠償請求を検討してみることが考えられます。

【参考】民法
(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。

(注文者による契約の解除)
第六百四十一条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

清水先生
早急なご回答ありがとうございます。
教えていただいた内容を参考にし、社内で対応策を練りたいと思います。