業務委託契約先からの経営不振による解約について疑問と注意点
業務委託契約先(委託側)から、経営不振を理由に契約期間中の解約を求められました(契約通算4年目、契約期間残3ヶ月)
準委任契約で、予め目安にした稼働時間をもとに月額委託料を定めていますが、実際は実稼働時間によって変動します。先方からは、稼働がなくなることから(支払いもなくなるため)解約で合意願いたいとのことでした。
経営不振とのことで穏便に済ませたいところではありますが、突然、仕事と収入を絶たれることから若干モヤモヤしています。
準委任契約ですから未来の稼働がなければ、支払いも発生しないと思いますが(解約時の支払いについては細かく定めてません)、こういった突然の解約が可能となると、契約上で契約期間や契約更新有無の意思表示期間を定めている意味がないように思うのですが、こういうものなのでしょうか?(受託側は当然、契約期間中は稼働時間相当を確保しているわけですが)
また解約合意書を結ぶ際に、注意すべきことがあればそれもご教授いただけますと幸いです。
民法656条により、準委任契約には委任契約の規定が準用されます。
そして、民法651条1項により、委任契約は、各当事者がいつでも契約を解除できるものの、同条2項本文により、相手方に不利な時期に委任契約を解除したときには、委任契約を解除した者は、やむを得ない事由がある場合を除き、相手方の損害を賠償しなければなりません。
委託者の主張する経営不振はやむを得ない事由にあたらない可能性が高いように思います(そもそも本当に経営不振なのか、どの程度不振なのか等、疑義があるところです)。
そこで、解約合意をするならば、民法651条2項の損害賠償責任の定めを交渉材料に、残りの契約期間3ヶ月分の損害を賠償してもらう等の交渉をなされてみてはいかがでしょうか。
【参考】民法
(委任の解除)
第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
(準委任)
第六百五十六条 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。