業務委託契約について

私立大学にて、業務委託契約(一年契約)でキャリアカウンセラーとして勤務しております。勤務は年間に660時間程度です。10年間、同じ形態で契約を更新してきました。同じ条件で働くカウンセラーの方が、自分の他に一人います。

今年の春に着任した課の責任者より、次年度(2024年4〜3月)の契約については、予算の都合で大幅に時間数をカットする予定であることを知っておいてほしいと、本日告げられました。実際にどのくらいになるかは、現時点で明言できないとのこと(ニュアンスでは半分以下、場合によっては全くのゼロ)、課としては、カウンセリング専任ではなく、事務的作業と兼任してくれる人を探しているということでした。

これは、仕方がないことなのでしょうか。このまま条件を呑むしかないのでしょうか。

形式的には業務委託契約とされているものの、働き方の実態に鑑み、実質的には労働契約と解される場合には、これまで10年間も同じ形態で更新なされてきた状況等から労働契約法19条の適用がある可能性があります。その場合、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされます。
 また、業務委託契約だとしても、これまで10年間も同じ形態で更新なされてきた状況等に鑑みれば、受託者側に更新の合理的な期待が生じているものとして、労働契約法19条の類推適用や使用者側の更新拒絶の信義則上の制限等があり得るかもしれません。
 より詳しくは、労働問題•業務委託問題に取り組んでいる弁護士に個別に問い合わせ、直接相談してみて下さい。
 
【参考】労働契約法
(有期労働契約の更新等)
第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。