離婚後の慰謝料や年金分担の請求について
離婚調停を起こされたのですが、離婚したくないので、訴訟になっても拒否し、円満に努めると伝えようと考えています。
でも、相手にも非があるので、離婚させられるのなら、できるだけお金を取りたいです。離婚後に申立てて、慰謝料や年金分担の請求はできますか?
申し立てることは可能ですが、慰謝料や年金分担については離婚についての話をまとめる際に併せて行う方が一般的です。その方が一つの手続きの中で話をまとめることができますので時間的にも節約できるかと思われます。
調停や裁判で離婚したくないと主張しながら、離婚する場合の慰謝料や年金分担の請求をするのですか?
まず、民法という法律の定める離婚事由(※)が認定されてしまう可能性のあるご事案かを検討してみましょう。
例えば、認定されてしまう可能性が高いご事案などの場合には、離婚調停ないし離婚訴訟中に、離婚の条件交渉として、慰謝料や財産分与などを話し合っておくのも合理的な選択だと思われます。
これに対し、現時点では、法定の離婚事由が認められる可能性が低いご事案などの場合には、離婚はしない方針に基づき、離婚調停でも離婚訴訟でも、離婚条件の交渉には一切応じない(仮に離婚するとしたらという前提での離婚条件の交渉も行わない)という選択をするのもまた合理的な選択と思われます。
なお、別居されている場合には、婚姻費用分担調停をあなたから申立て、離婚までの配偶者としての生活費の支払いを相手からしてもらうことも検討しておきましょう。
離婚後でも、慰謝料、財産分与、年金分割の請求は可能ですが、請求できる期間制限がありますので、ご留意下さい(例えば、財産分与や年金分割は、離婚の時から2年を経過すると請求できなくなってしまいます)。
いずれにしても、ご自身で判断ができかねるときは、お住まいの地域等の弁護士に直接相談する等して適切なアドバイスを受けられるとよろしいかと思います。
【※ 参考】民法
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。