芸能事務所への退所に関する違約金の支払いについての疑問
芸能事務所に所属しております。
5年契約です。
契約が来年度3月末で切れるのですが、6ヶ月前までに更新拒絶の旨を書面で渡さないと自動更新という内容です。
現在10月なので自動更新される対象ではありますが、現在の芸能事務所に不信を感じ、退所しようと考えております。
違約金を払えば強制的に退所できる旨が契約書に記されているのですが、違約金というのが事務所との残り契約年数に応じて変化するようになっています。
この場合、4月になるまでに違約金を払えれば更新予定だった分は払わずに済むのでしょうか。
それとも自動更新となっているので更新されているのでしょうか。
よろしくお願いします。
とりあえず契約更新をしないことを配達証明で通知しておくといいでしょう。
事務所に不信を感じた理由や入所した時の説明と食い違いがある点などを整理
しておくといいでしょう。
違約金条項は無効になる可能性があるので弁護士と相談も必要でしょう。
近時、芸能事務所とタレント•芸能人との契約関係を雇用契約と扱い、労働基準法を適用して、以下のような解決をする裁判例が出て来ています。
① 一年を超える契約期間の定めのある労働契約につき、労働者は、労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができるという労働基準法第137条の規定を適用して、タレントの退所を認める
② 労働基準法第16条を適用し、退職時の違約金の定めを無効とする
ただし、事案によっては、芸能事務所とタレント等との契約関係を雇用契約とは認めない裁判例もありますので、より詳しくは、契約書を持参の上、弁護士に直接相談してみて下さい。
【参考】労働基準法
(この法律違反の契約)
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
(契約期間等)
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。