身元保証人で損害賠償を断ることはできるのか

兄が就職のため妹に身元保証人の登録をお願いしました。もし、兄が企業規定や、法律に違反して違約金や損害賠償等を支払わなければならなくなった際に妹に企業から賠償の旨の通知が来たら断ることはできますか?

結論からいいますと「身元保証人」がどのような義務を負う取り決めをしているかによります。

賠償義務を負う契約書を締結しているなら賠償義務を負う可能性がありますが、
単に、連絡先として登録しておくという程度の内容ならそもそも賠償を約定していない以上賠償義務は負わないでしょう。
つまり、何を「身元保証人」が負担することになっているかこそ重要です。
「身元保証人の登録」とは具体的に何を意味するのか調べる必要があるでしょう。

基本的に入社の際の身元保証人は,労働者が何かトラブルを起こした際の賠償責任の一切を保証する意味で使用されることが多いため,請求を拒むことができないケースもあり得ます。

具体的にどのような書面にサインをしたのかをしっかりと確認をされた方が良いでしょう。

身元保証書には上部に兄宛の誓約書があり、下部に「この度貴社に採用になりました上記のものにつきまして私が本日より5年間身元をお引き受けいたします。万が一本人が上記誓約書に違反した時は本日より5年間私が本人と連帯してその損害を賠償いたします」と記載があり実印の押印と印鑑証明を求められました。

一般的ですが、古い書式ですね。
今は2020年4月施行の改正民法により、個人根保証といういわゆる包括的な損害賠償義務の保証については上限を定める必要があります(極度額といいます。)。
この書式にサインしても、実際は連帯保証部分は民法465条の2②により無効となり、会社側は請求できない可能性が高そうです。