転職による養育費減額交渉は可能ですか
今の職場の環境が嫌で転職したいです。
ただ、養育費の支払いをしている身なので転職して収入が減った場合は減額交渉できるか心配です。
嫌になって辞めただけで減額できるものですか?鬱になって仕事を辞めたとなれば認められるでしょうか…?
収入減少は、養育費の減額調停の申立て理由によくされる事情の1つです。
養育費の取り決め時から収入に減少があったら直ちに減額が認められる訳ではなく、①従前合意等の際、予測できない事情の変更と言えるか、②事情変更を考慮しなければ(著しく)公平を害する場合と言えるか等の観点から減額すべきか否かが判断されることになります。
また、裁判実務では、婚姻費用や養育費の金額を決めるにあたり、一時的な無職や失業等の事情があったとしても、従前の収入状況や潜在的な稼働能力に基づき、基礎収入の認定がなされることがあります。
あなたのご事案でも、あなたの基礎収入を認定するにあたり、前年度の年収が考慮される可能性はあるでしょう。想定される再就職後の収入状況も説明を求められる可能性があります。
ただし、妻側が働いている場合には、妻側の収入資料の提出を経て、妻側の基礎収入を認定することになります(妻側が現在無職でも、妻側の潜在的な稼働能力に基づく収入認定がなされるケースもあります)。
ご自身での対応が難しい場合には、お住まいの地域などの弁護士に直接相談し、適切なアドバイスやサポートを受けてみることをご検討下さい(なお、法テラスの民事法律扶助が受けられる場合には、相談料が無料となったり、弁護士に代理人になってもらう費用の立替払いを受けられる可能性があります)。
養育費を免れるために自主退職したといったような事情がなければ、減額事由になり得ます。
なお、実務的には、義務者の収入が減ったとしても、減少率が20%程度以内に収まっているような場合には減額事由に当たらないと判断されることもあるという印象です。
不払や減額目的など、不当な動機、目的で収入を下げたとはいえないため、減額事由にはあたるかと思います。なお、減額交渉で着地すればよいですが、軒並み感情的になってまとまらないケースも多いですので、その場合は養育費減額調停を申し立てるとよいと思います。