音楽イベントの動画で顔がハッキリ写っており、許可もしていない状態ですが、肖像権の侵害になりますか?
先日音楽イベントに参加しました。その時の動画がYouTubeにアップされていたのですが、私の顔がハッキリ写っていました。モザイクもなしで、もちろん許可もしていません。これは肖像権の侵害に該当しますか?
肖像権の侵害となるか否かを判断する際の基準として、参考になる最高裁の判例があります。
「人はみだりに自己の容ぼう,姿態を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有し,ある者の容ぼう,姿態をその承諾なく撮影することが不法行為法上違法となるかどうかは,被撮影者の社会的地位,撮影された被撮影者の活動内容,撮影の場所,撮影の目的,撮影の態様,撮影の必要性等を総合考慮して,被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである。」(最高裁判所第一小法廷平成17年11月10日判決)
被撮影者の社会的地位
あなたが公人ではなく、私人であること、
撮影された被撮影者の活動内容
音楽イベントに一参加者として参加している
撮影の場所
自宅などの私的空間ではなく、音楽イベント会場という不特定多数の人の出入りのある場所であること
撮影の目的
音楽イベントの開催状況等を伝える等の目的
撮影の態様
参加者の容姿が個人を識別できるような状況で撮影•公開されている(モザイク処理等も、されていない)、撮影していることを事前に断っていたり、撮影•公開につき許可なし
撮影の必要性
•音楽イベントの開催状況等を伝える等?
•youtubeにアップしたのは、イベントの運営側か、それともイベントに参加した他の客か
(他の客の場合、運営側も撮影•公開を許可していない可能性あり)
これらの事情を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかを判断することになろうかと思いますが、イベントの性質上写真や動画撮影がなされる可能性があること等が重視されると、社会生活上受任すべき限度を超えるものとまでは言えないと判断される可能性もあるでしょう(損害賠償請求までは認められない可能性もあるでしょう)。
ただし、あなたの容姿が特定•識別できないような処理を施した上で公開する等の対応も可能でしょうから、肖像権の観点から問題があることを伝えた上で、YouTubeにアップした人やYouTube運営会社に対し、動画の削除やモザイク処理等を求めてみる方法も考えられます。