不法行為による損害賠償債務の遅延損害金起算日と損害の関係
訴訟において、既婚者だと知りながら不貞関係を継続したことにより、平穏に婚姻生活を営む権利を侵害され、よって婚姻関係が破綻し精神的損害を被ったとして、不法行為による損害賠償請求をされています。
質問 遅延損害金の起算日が令和5年9月23日だったとき、令和5年9月23日までに生じた損害の賠償を請求していて、これが訴訟物(審理・判断の対象)となっていると解すべきだと考えていますが、いかがでしょうか?
考えていること
不法行為による損害賠償債務は金銭債務であり、遅延損害金というのは金銭債務の不履行による損害賠償額だと考えています。
そうすると、損害が発生していないのに被告が履行遅滞に陥ったというのはありえないわけで、遅延損害金起算日より後に生じた損害の賠償を請求することはできない(請求しようとしていない)はずです。
不貞行為を原因とした損害の賠償とその遅延損害金の支払いを求められているかと思いますが、なにか余分なものが請求されているかもしれないとお考えなのでしょうか?
ご回答ありがとうございます。
婚姻関係が破綻し精神的損害を被ったとして、不法行為による損害賠償請求をされているところ、後になって、原告は、遅延損害金起算日よりも後に婚姻関係が破綻したと主張したのです。
すなわち、被告が遅滞に陥った(遅延損害金を起算した)後に、損害が発生した(婚姻関係が破綻した)という請求なので、疑問を感じています。
遅延損害金を起算した日には損害が発生していなかったということで、原告の請求に理由はないと主張したいです。
裁判所は、遅延損害金起算日よりも後に生じた損害を、慰謝料算定の基礎にすることはできないと思います……。(弁論主義)
訴状、答弁書、その後の準備書面の内容を確認したわけではありませんので、不明な点もございますが、
>遅延損害金を起算した日には損害が発生していなかったということで、原告の請求に理由はないと主張したいです。
>裁判所は、遅延損害金起算日よりも後に生じた損害を、慰謝料算定の基礎にすることはできないと思います……。(弁論主義)
書かれている内容を見る限り、原告の請求に理由がないとの主張や弁論主義に反するという主張ではなく、遅延損害金の起算点がズレているという主張であり、不貞行為を原因とした損害賠償に対する有効な反論にはなっていないような気がします。
ただ、ご本人で対応され、疑問に感じているのであれば、主張として出してみてもよいかとは思います。
ありがとうございます。
一応訴訟において主張しているのですが、「実務上そのような理解はされていない」とか「遅延損害金起算日以降に生じた損害の賠償を請求できないというわけではない」と返されています。
それでは、実際に、裁判所が「婚姻関係が破綻し精神的損害を被ったのは遅延損害金起算日よりも後」だと認定したうえで、判決において、まだ遅滞に陥っていないはずの遅延損害金を認めるということは許されるのでしょうか?
離婚に伴う慰謝料のほうがわかりやすいかもしれません。
離婚に伴う慰謝料請求において、原告が離婚日よりも前の遅延損害金を附帯請求していた場合、判決において裁判所が離婚日前からの遅延損害金の請求を認めるということは許されるのでしょうか?
裁判所が勝手に、「原告の請求は離婚日からの遅延損害金を請求する限度で理由がある」と、一部請求認容のような判断をし、ずらしてよいのでしょうか……。
遅延損害金の起算日について何か強いこだわりを感じるのですが、主たる請求は不貞行為を原因とした損害賠償請求ですので、主たる請求に対する判断に対応する形で遅延損害金の起算日が認定されることになるかと思います。