自作イラストのデフォルメ依頼

自分で作成したキャラクターのデフォルメを他の絵師の方に依頼した際の著作権(財産権、著作者人格権)はどうなるのでしょうか。

抽象的なキャラクター自体には著作権は認められないものの、キャラクターを具体的に表現したものについては、著作権が認められると考えられています。
 そして、あなたが作成したキャラクター画を原著作物とした場合、それをデフォルメして作成された画は、原著作物を変形して作成された二次的著作物と考えられます。
 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有するものとされています(著作権法第28条)。
 そのため、あなたは原著作物の著作権•著作権人格権を保有しつつ、二次的著作物についても二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有していることになります。
 ただし、二次的著作物の著作者がこのような権利関係を認識していない可能性があるため、紛争予防の観点からは、デフォルメの依頼の際、契約書で権利関係等をしっかりと取り決めておくべきでしょう。
 
【参考】著作権法
(著作者の権利)
第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。

(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

なお、二次的著作物に対する原著作物の著作者の権利を考える上で、以下の判例が参考になるかと思われます。

【参考】  最高裁判所第一小法廷平成13年10月25日判決(「裁判例検索」裁判所サイトより)
 1 甲が各回ごとの具体的なストーリーを創作し,これを小説形式の原稿にし,乙において,漫画化に当たって使用することができないと思われる部分を除き,その原稿に基づいて漫画を作成するという手順を繰り返すことにより制作された連載漫画は,同原稿を原著作物とする二次的著作物である。
2 二次的著作物である連載漫画の原著作物である原稿の著作者は,同連載漫画の著作者に対し,同連載漫画の主人公を描いた絵画を合意によることなく作成し,複製し,又は配布することの差止めを求めることができる。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62471

新しくできたデフォルメ絵について、他の絵師様が著作権や著作者人格権を有することになるのが通常です。

デフォルメ絵の使用などに関して後日トラブルにならないように、依頼前に著作権の取り扱いについて譲渡を受ける・使用範囲を明確にして利用許諾を受けるなどの対応をしておくことが望ましいです。