元夫からの養育費減額調停申立について、公正証書作成時の事情変更を考慮すべきでしょうか?

元夫から養育費減額調停を申し立てられています。

私たちは3年前の離婚時に公正証書を作成しました。
元夫は当時、個人事業主と法人(合同会社の代表社員)の2箇所を経営していましたが、昨年個人事業を廃業し法人のみとなったから給与所得となり所得が下がったことを理由に調停を申し立てたようです。

そもそも個人事業の頃と事業内容は同じで引き継いでいるだけなので不当に所得を下げて給与所得者として算定されてしまうのはどうも納得がいきません。
さらに、公正証書作成当時に法人は既に設立されており、いずれ個人事業を廃業し法人一本化することは予測できていたと思いますが、こういった場合でも事情の変更として認められてしまうのでしょうか?

実務的には、事情変更の有無は、
・合意時に基礎となった事情に変更が生じたか否か
・合意時に、事情の変更を当事者が予見できたか否か
・合意時に定められた養育費の支払を続けることが相当でないといえる程度に重要な事情の変更であるか否か
などを検討した上で判断されます。

ご事情からする限り、事情変更なしと判断される可能性はあると思います。
詳細な事情を説明しながら、一度、弁護士に相談なさるとよいと思います。

収入減少は、養育費の減額調停の申立て理由によくされる事情の1つです。

養育費の取り決め時から収入に減少があったら直ちに減額が認められる訳ではなく、①従前合意等の際、予測できない事情の変更と言えるか、②事情変更を考慮しなければ(著しく)公平を害する場合と言えるか等の観点から減額すべきか否かが判断されることになります。

養育費の取り決め時から3年という比較的短期間での減額の申立てであること、個人事業の廃業という元夫側の意向に属する事情であること等からすると、しっかりと反論して行くことで、減額が相当ではないと判断される余地のあるご事案かと思います。

ご自身での対応が難しい場合には、お住まいの地域などの弁護士に直接相談し、適切なアドバイスやサポートを受けてみることをご検討下さい(なお、法テラスの民事法律扶助が受けられる場合には、相談料が無料となったり、弁護士に代理人になってもらう費用の立替払いを受けられる可能性があります)。

実務上、合意後の事情変更があれば減額となりますが、その事情変更が合意当時予測可能な範囲の事情変更であれば、そもそもそのことを折り込み済みで合意しているという側面があるため、基本的には減額となりません。したがって、元夫の法人成りとそれに伴う収入減の蓋然性があったことを前提として分担額を定めたということを立証できれば、事情変更なしとして減額されない可能性はあります。

皆様、分かりやすくご丁寧にご説明していただき感謝致します。事情変更にならない可能性があるとのこと、安心しました。近隣の弁護士先生に相談し、アドバイスを受けながら調停を進めたいと思います。誠にありがとうございました!