20年以上前の長男への住宅資金贈与は相続財産に加算すべきか

今年の3月に農業を営んでいた父親がなくなり、父親と同居していた長男が相続人代表として相続関係を進めています。
相続人は、この長男と妹の私の2人です。
母親は2019年に他界しました。
相続も中盤になり、被相続人の遺産の洗い出しが最終局面に掛かっていますが、
その中で、20年前に長男名義で自宅を新築したのですが、その時に被相続人の父親から長男に、2000万円の住宅資金の贈与をしました。
一般的な贈与は時効が6年と聞いていますが、この20年前の住宅資金の贈与は、どういう扱いになるのでしょうか。
特別受益分として相続財産に加算して相続税の申告をすべきだという見解の人もいれば、20年も前のことだから時効だよ、相続財産に加算する必要はないよという人もいらっしゃいます。
もし、2000万円を相続財産に加算すると、基礎控除額を超えて、相続税を申告し納付しなければなりません。
判断を誤ると、後に脱税で税務署からペナルティーを課せられるリスクもあり毎日ヒヤヒヤしています。

お困りの理由はよくわかります。
ややこしい話ですが、「民法上の特別受益に持ち戻し」の問題と「相続税法上の相続課税」の問題は、法律の目的が異なり、対象となる財産の範囲も異なります。

結論から言えば、「民法上の特別受益に持ち戻し」については時効はありませんので、長男様以外の他の相続人が2000万円を相続財産に持ち戻して(含めて)各人が受ける相続の金額を決めろという主張がされれば、そのようにしなければなりません。
一方、「相続税法上の相続課税」の問題については、2000万円を相続財産に含めて申告する必要はありません(贈与の時期によっては含める必要がございますが、20年前であれば含める必要はありません)。なぜかと言えば、本来は自宅購入資金として2000万円の贈与を受けた時点で贈与税の申告と納税をしているはずで、改めて相続が発生した際に相続税の申告と納付をすると、一つの贈与について二重に課税されることになるからです。

2000万円を相続財産に含めて申告する必要はありませんが、当時贈与税を支払っているのかなどは念のためご確認ください。