倒産した会社から貸与された設備の返却義務はあるか?
知人の会社(以下、先方)が最近倒産しました。
数年前から、当方(法人)は先方から仕事を安く請負うことを条件に、先方では使用していない設備を無償で貸りていました。この設備については当方で自由に使用してよいとの条件(今後の業務に関わらず、無期限)で借りていましたが、特に契約等の書面は交わしていませんでした。
今回、倒産に際して、破産管財人より返却の要請がありましたが、返却はしなければならないでしょうか?
当方としては、先方の仕事を安く請負った実績の対価として、譲渡いただいたような認識でしたが、書面等は交わしていませんので、返却義務はあるのでしょうか?
結論として、当該設備を「もらっていた」のであれば返す必要はありません。逆に「借りていた」のであれば返す必要があります。
譲渡か貸借であるのかがわかる書面がないということであれば、周辺的な事情を拾って、ご相談者様としては設備は「もらっていた(譲渡を受けていた)」ものだという主張をしていただくことになります。
一例としては、
・賃料を支払っていない事実や、譲渡の対価として相場よりも安い価格で仕事を受けていたという事実
・設備についての管理等の事情(ご相談者様の工場等に設置されているのかどうか、日々のメンテナンスは誰が誰の金銭的な負担で行っていたのか:譲渡だとすれば、ご相談者様の管理下で、ご相談者様の費用でメンテナンス等しているのが通常だと思います)
・会計面での取り扱い(第三者から譲渡を受けた固定資産等として計上しているか等)
が挙げられるように思いますが、これに限らず譲渡を裏付ける事実については主張されるべきです。
設備の内容や、金額等、その他にも色々事情や事実関係があると思いますので、お困りの場合は一度弁護士に直接ご相談いただき、必要に応じて対応を依頼することをご検討ください。
無償で借りていたという認識なのであれば、所有権は破産会社にあるので返却の必要があるように思います。
実際、先方の代表者・関係者も「貸している」との認識を破産管財人に伝えているから返却の要請が来ているのだと思います。
返却を免れようと、譲渡を裏付けるような間接事実を積み上げようとしても、当事者間であくまで貸借関係であると考えていたのであれば、
返却には素直に応じた方がよいように思います。