刑事事件に持ち込んでから示談する場合の加害者の罪はどうなる?
身内が強姦未遂に会い、被害届を出しています。
和解に応じる、応じないで加害者は起訴されるのでしょうか。
あるいは被害届が受理されたら、金銭などで和解に応じる事は、逆にしてはいけない事なのでしょうか。
よくニュースで会社のお金を横領などして、既に弁済しているか、和解に応じる方向という報道を聞きます。
私には、和解した所で罪は罪で、刑事罰はあると思っていたのですが、和解に応じてしまったら民事と解釈され、刑事罰に問う事は出来なくなるのでしょうか。
民事と刑事は全く別物と考えてください。民事裁判で原告(訴えた側)が敗訴しても、刑事裁判で被告人(起訴された人)が有罪になることもあります。民事は、個人の間の私的な問題を解決するもの、刑事は、国が被告人に刑罰を下す手続きです。刑事事件で起訴するかどうかは、検察官が判断します。
お尋ねのような刑事事件で起訴前に和解(示談)が成立すれば、検察官は、その内容を参考にします。示談書に「被害者が被疑者の刑罰を望まない」という条項が入っていれば、検察官は、直接被害者に確認し、その意思が明確なら起訴しないこともあります。ただし、被疑者に同種前科があり、金持ちなので、示談金を多く出して罪を免れようとしていることが明らかなら、示談が成立していても証拠があれば起訴することもあります。また、示談書の中身で「示談金は受け取るけど、被害届を取下げない。」などと処罰意思が存在することが明らかなら、示談が成立していても起訴することがあります。
刑事事件としての起訴不起訴は、このように検察官が判断しますが、和解(示談)は、刑事事件を原因とするものであっても、民事手続なので、被害届を出していても、あるいは、すでに検察官が起訴していても、示談するかしないかは、被害者の任意の意思で行って構いません。ただし、上記のとおり、その内容によっては、検察官が起訴前であれば、不起訴にする、すでに起訴していれば、求刑を軽くすることもあります。
お尋ねのような罪名では、お考えのとおり、被疑者に刑罰を受けさせるのが相当と思われます。ただ、相手側の不法行為により、損害を受けたのですから、慰謝料等の損害賠償金を受け取る権利が被害者には、当然に存在します。刑事裁判の中での刑事和解、刑事裁判で有事判決が下された場合、引き続き行われる損害賠償命令手続という被害者が被告人側から金銭賠償を受ける制度もありますし、刑事事件で有罪が確定してから、民事裁判を起こして損害賠償金を請求することも可能です。
民事と刑事は別物、
確かに耳にしますが。そういう意味なのですね。
ニュアンス的に、民事で清算済なら、もう刑事で訴える事は不可能と誤解をしていました。
実は加害者は私の上司です。
私が帰宅しない時間を見計らって住居に進入して来ました。
不動産業で宅建主任士である為、起訴すれば会社に知れる事となり、制裁を受けて欲しいから起訴に持って行きたい気持ちと、彼女が受けた事が同僚に知れてしまう可能性があり、まだ行使に悩んでいたのですが、慰謝料を払うから許せという態度を取っていまして、ここで慰謝料を受け取ったら起訴に持ち込めないと誤解していたので悩んでいました。
やはり弁護士に依頼すべき案件でしょうか
最初のお尋ねにあったとおり、すでに警察に被害届を出しているのですね。
被害者として被害者支援に精通している弁護士を依頼した方が今後のやりとりを自分でしなくても済むので、有効だと思います。被害者精通弁護士は、法テラスに聞けば、弁護士会の担当を教えてくれるか、法テラスが把握している何人かの弁護士を教えてもらえます。
これは私の個人的な意見ですので、あくまで参考にしていただければ良いのですが、相手の態度を見るに、金で解決すれば良いと考えているようで反省の情が伺えません。性犯罪は、犯人が繰り返すおそれがあり、今回、お金で解決し、刑罰も仕事の懲戒処分も受けないままだと、また、新たな被害者を生むおそれがあります。ここは、頑張って起訴してもらい、適正な刑罰を受けさせることが良いと思います。刑事裁判が進行していても、前に回答しましたように様々な方法で損害賠償を受けることはできますし、むしろ、当然の権利として受けるべきです。その点は、弁護士に任せることができます。
内藤先生の見解に納得です。
今回の件で悩んだ事が数点あります。
仰るとおり反省の意思が伝わらないのです。
加害者の生活も考えて、社会的制裁がいかない配慮を考えていましたが、彼の上長に報告し、会社としても断固たる処置を望む姿勢を伝えました。
お金を取る事が目的では無いのですが、私が事を大きくしたがらないと踏んで、私の彼女に悪事を働いた点など、悪質さが強く、先生のおっしゃる通りで同僚が同じ思いをする可能性も無いとは言えず、和解せず損害賠償を請求したい意思を汲んでくださる弁護士を探したいと思います。
この度はありがとうございました。
追伸
彼女に今回の相談に親身になってくださった先生がみえた事を伝えた所、とても安堵に満ちた表情をしていました。
ありがとうございます。