7/13から施行された撮影罪による盗撮被害の現行犯逮捕の可能性と示談金の影響についての質問
7/13から撮影罪が施行されましたが、その当日に知り合いが盗撮被害に合いました。
その場で加害者を問いつめ、携帯から盗撮の動画が4つほど確認でき、警察を呼ぶ事態になったそうです。
警察の判断で性的な動画であると判断され、性被害として被害届を出すに至りました。
この際、携帯は押収されその後の加害者の動きは分かっていないそうです。この場合加害者は現行犯逮捕となっているのでしょうか?また、被害者はどのような動きとされるのでしょうか。後日警察からの連絡が来るとだけ聞いているそうです。
また、撮影罪の施行によって拘禁刑3年以下または罰金300万円以下となりましたが、これによる示談金への影響はあるのでしょうか?
被害者自身忙しく、裁判を行わず示談での解決するしかないのかと悩んでおります。この際の示談金の相場はいくら位でしょうか?撮影罪施行前は30〜50万という情報をネットで見ました。
被害者は軽度ではありますが精神的に患っており、これは示談金に関係することはありますでしょうか。
今までこのような経験がないためとても困っております。
長く質問も多いですがよろしくお願い致します。
どうにか被害者にとって良い結果になるよう尽力したいと考えております。
>この場合加害者は現行犯逮捕となっているのでしょうか?
→ 現行犯逮捕されたいる可能性もあると思われます。ただし、現行犯逮捕も逮捕の一種のため、逃亡のおそれ又は罪証隠滅のおそれが必要とされています。加害者の身元が既に警察に判明しており、また、盗撮の証拠である動画が保存しますされた携帯も押収されている状況に鑑み、取調べ等の捜査のための呼び出しに素直に応じること等を条件に、一度自宅等に帰され、在宅捜査となっている可能性もあるかと思われます。
>被害者はどのような動きとされるのでしょうか。後日警察からの連絡が来るとだけ聞いているそうです。
→ 被害者から事情を聴取し、被害に関する供述調書を作成するため等に、警察から後日連絡があるものと思われます。
なお、示談交渉のためには、互いの連絡先を教え合う必要がありますが、性犯罪の場合、犯罪の性質上、被害者側としては被疑者に連絡先を知られることは避けたいでしょうから、被疑者側か被害者側のいずれかが弁護士を付けるのが望ましいのですが、被疑者側が勾留されない場合には、被疑者側に国選弁護人は選任されず、被疑者に弁護人がつかないままの可能性があります。
そのような場合に備え、被害者側で弁護士を代理人に選任し、示談交渉にあたってもらうことも考えられます。
なお、刑事事件の被害者には、様々な弁護士費用の援助制度があります。
①日弁連委託援助(性犯罪で被疑者側から示談の申入れがなされているケース等で利用できる可能性があります)、②民事法律扶助(損害賠償命令や損害賠償請求の際の弁護士費用等の立替え)等です。いずれも、被害者の方の資力が一定の範囲内という資力要件がありますが、活用できる例は多いです。詳しくは、お住まいの地域等の犯罪被害者支援に精通している弁護士に直接相談なさってみて下さい(なお、いずれのサポート制度も、被害に遭われたお知り合いの方が直接申し込む必要があります)。
>撮影罪の施行によって拘禁刑3年以下または罰金300万円以下となりましたが、これによる示談金への影響はあるのでしょうか?
→ 迷惑防止条例違反よりも罰金刑の法定刑が上がっていること等に鑑みれば、被疑者に対して以前よりも高額な罰金が科される可能性があります(それに伴い、刑事処分を回避しようとする被疑者側の動向次第では、示談金が高額化して行く可能性もあるでしょう)。
ただし、法定刑はあくまで科すことが可能な刑罰の範囲を定めたものであるため、今後、撮影罪の施行前よりも、実際に科される罰金刑の金額が高額化して行くのかは定かではなく、今後の検察•裁判所の動向を見極める必要があるでしょう。
なお、ネット上の示談金の相場情報は一つの参考にはなりますが、留意が必要です。
そもそも、被疑者側•弁護人側からの立場から記載されていることも多く、被害者側(被害者支援をしている弁護士側)からするとネット情報は低額と感じることもあります(ネット上の相場情報よりも高い金額での示談•裁判経験もあります)。
また、起訴の可能性(略式請求か公判請求か)、被害者として刑事処罰を望む度合い、刑事事件とは別に民事訴訟を提起する意向、被疑者側の経済状況等の事情によっても変わって来ます。
いずれにしても、被害に遭われたお知り合いがご自身で対応するのが時間的にも精神的にも難しい場合には、上述のサポートの制度を使用する等して被害者支援に精通した弁護士に相談•依頼し、適切なサポートをしてもらう方法も検討なさってみて下さい。
【参考】性的姿態撮影等処罰法
(性的姿態等撮影)
第二条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
>どうにか被害者にとって良い結果になるよう尽力したいと考えております。
結論から言いますと、
・被害者に弁護士に相談に行くよう伝える
・もし、精神的にどうしても難しいなら、相談者さん等、誰かしらの付き添いも検討のうえ、弁護士に相談する
のが一番だと思います。
ネットだと、一般的な回答しか難しいからです。
面談せずに一般的な回答をするなら、
・逮捕について→警察に聞いてみないとわからないので、尋ねてみることをお勧めします。
・示談金への施行の影響について→正直まだわかりません。よくネット上で、「相場」とかが書いてありますが、個別のケースでそれより上がったり下がったりすることは普通にあります。