不貞行為の慰謝料請求に関して

既婚者の彼と一年ほどお付き合いをしておりました。
彼の奥様から慰謝料の請求を受けています。

これまでの経緯ですが、交際が始まり彼は離婚を切り出しました。
その後、話し合いを続けていましたが奥様は離婚する気がなく、家庭内別居状態(彼が家に帰らない)になりました。
そして別居。2週間後には離婚調停の申請を行いました。
一度目の調停で、奥様は離婚に合意しましたが、条件が法外でしたので持ち越しになりました。
現在、私は彼と関係が終わっています。

まず、私と彼の不貞を裏付ける証拠がありません。あるとすれば、別居後、調停での合意後になります。

質問です。
・別居後、すぐに調停申請をしており、その後奥様側からアクションを起こす等もなく別居期間中の夫婦での話し合いは一切ありませんでしたが、破綻しているとは認められないのでしょうか?

・調停で離婚に合意した事を覆すことは可能なのでしょうか?(本当はやり直したい等主張を変える)

・↑又、その場合慰謝料請求が目的で趣旨を覆したとも捉えられるかと思いますが、そこに関しては法律的にはどうなのでしょうか?

・不貞の確かな証拠を奥様はお持ちではないのですが、請求できるのでしょうか?

・私への慰謝料請求に対して、彼に求償権を求められますか?

・私と彼が口裏を合わせれば関係があったのは別居・離婚調停での合意後という扱いにすることは可能だと思いますが、この場合は裁判を相手側に起こしてもらう方がいいでしょうか?

質問が多くなってしまいましたが、よろしくお願い致します。

・別居後、すぐに調停申請をしており、(中略)破綻しているとは認められないのでしょうか?

→破綻の事実は、別居や調停申請により認められるわけではなく、それ以外に婚姻継続し難い事由があるかどうかの実質的な部分が問われます。なぜ別居しなければならなかったのか、夫婦が立ち行かなくなっていたのか、という点が重要です。別居や調停に対して妻側がノーリアクションだったことは、それだけ冷め切っていたことを示す間接事実にあたるかもしれませんが、確実なものではありません。妻側が主観的にやり直したいと思っているだけでもまだ破綻していないんだという評価はあり得ます。

・調停で離婚に合意した事を覆すことは可能なのでしょうか?(本当はやり直したい等主張を変える)

→可能です。それだけ重要な問題ですので気持ちが変わることはあります。また、調停で離婚に口頭で合意する旨発言しても記録には残らないため、立証は困難かと思います。

・↑又、その場合慰謝料請求が目的で趣旨を覆したとも捉えられるかと思いますが、そこに関しては法律的にはどうなのでしょうか?

→そういう意図が裏にあったとしても、慰謝料請求は可能です。もっとも、破綻の後の交際であれば救われるので、結局は破綻の事実があったかどうかが最も重要です。

・不貞の確かな証拠を奥様はお持ちではないのですが、請求できるのでしょうか?

→請求はできます。ただ、こちらが否定した場合、裁判にもつれこみ、最終的には立証の問題になります。夫が認めた書面など出てくると証拠としては強いかと思います。

・私への慰謝料請求に対して、彼に求償権を求められますか?

→求償は可能です。求償権を放棄する代わりに半額まで下げてもらう、ということもあり得ます。

・私と彼が口裏を合わせれば関係があったのは別居・離婚調停での合意後という扱いにすることは可能だと思いますが、この場合は裁判を相手側に起こしてもらう方がいいでしょうか?

→前段についてはコメントしませんが、後段の裁判を相手方に起こしてもらう方がよいか、については、相手の請求が高すぎる場合であるとか、事実関係の認識の乖離が激しい場合などは、裁判を起こしてもらって裁判所が適正妥当と判断する額しか払わないという選択は妥当だと思います。もっとも、裁判のデメリットもあるため、そこは慎重な判断が必要です。

ご解答下さり誠にありがとうございます。
大変わかりやすく、タメになりました。

追加で申し訳御座いません。
婚姻関係の破綻は、「離婚に合意した」「別居をしている」では証明にならないということですが、どのようなものが証拠になりますでしょうか?

整理が若干異なります。

離婚に合意した、は、事実として強いとは思います。ただ、それを裏付けるものが、調停中の発言、であれば、その経過が残っていないため証拠として弱い、という意味です。
また、不貞の事実を知らずして離婚に合意したのであれば錯誤ともいえます。
また夫側からの情報というのも確信しづらいです。

そういう意味で、離婚に合意した、という夫側からの情報は事実の存否の面でも証拠面でも弱いです。

別居は婚姻破綻を思わせる事情ではありますが、一方が離婚したくて破綻していないのに勝手に別居することもあり得ます。ですから、別居そのものよりも、破綻を基礎づける事実と証拠が大事になります。どのようなものがあるか、と言われますと、例示に困りますが、暴力暴言、モラハラ、お金を渡さない、性的不一致などいろいろあります。

詳しくご説明いただきありがとうございました。
とても参考になりました。