犯罪当時は未成年だが現在は成年の人を訴えたい。刑事裁判は成年の人と同じように扱われるのかどうか
4年前のことで訴えたい相手がいるのですが、相手は当時未成年でしたが現在は成年です。
どうして今訴えたいかというと自分が成年になって訴訟が自分でできるようになったからです。
刑事事件においてその人を今訴えたら実名報道も可能だし、前科をつけさせることも可能なのでしょうか?
回答よろしくお願いします。
あなたが言っている「訴えたい」という意味は、捜査機関に被害届又は告訴状を出したい、という意味でよろしいでしょうか。そうであれば、時効になっておらず、告訴期間の制限のある親告罪でなければ可能です。
ただ、あなたが言うような理由、相手が成人になるのを待ってから、刑事処分を受けさせるために被害届等の提出を待っていた、という理由では、罪名にもよりますが、検察官は、不起訴にする可能性が高いです。
また、刑事事件は、被害者が被害届を出す、告訴をする、ということはできますが、その後は、すべて捜査機関が捜査をし、検察官が起訴不起訴を決し、公訴提起、公訴維持を行います。このため、被害者が自ら訴訟行為を行うことができる民事事件とは違いますので、成人か少年かは関係なく、あなたが少年だったから、というのは理由になりません。
刑事訴訟法、少年法の大原則は、20歳未満の罪を犯した人を少年法の規定で保護を優先し、改善更生をはからせることです。例えば、警察が理由もなく捜査を遅延させ、少年である被疑者に家庭裁判所の審判を受ける機会を失わせて成人になってから、事件送致してきた場合、検察官は、通常は不起訴にします。
被害を受けてから相手に刑罰を受けさせようとして、ずっと我慢してきた被害者の人権はどうなるんだ、と感じられるかもしれませんが、現行の刑事手続法全体は、被疑者が不当な権利侵害を受けないように規制されているので、やむをえません。
被害届を出すことは可能ですし、警察が事件を立件することになると思われますが、残念ながら、その事件が起訴されるかどうかは、罪名や情状によって違いますし、不起訴になる可能性も大きいと思われます。